がん保険の選び方
~5つのポイントや選ぶ前に知っておきたい基礎知識~
著名人のがんに関わるニュースをたびたび目にします。がんについて考えたり、がん保険について調べたりしたことのある方も多いのではないでしょうか。数多くあるがん保険の中から自身に適した保険を選ぶことは、万が一がんに罹患してしまった際の経済的負担への影響を抑える大切なポイントです。一方で、がん保険にはさまざまな種類や保障内容が存在しているため、何を基準に選べばよいかわからないという方も多いと思います。
そこで今回は、がん保険の基礎知識から選ぶ際のポイントまで網羅的に解説します。がん保険を選ぶ際のよくある質問と回答も紹介しているので、がん保険の加入や見直しを考えている方はぜひご参考になさってください。
がん保険を選ぶ前に知っておきたいこと
最初にがんの治療にかかる費用とがん保険の主な保障内容を把握しましょう。
がんの治療にかかる費用
がんの治療にはさまざまな費用がかかります。手術や放射線治療、抗がん剤治療等の代表的な治療だけでも、費用が高額になることも少なくありません。そこで参考例として、がんに罹患した際にかかる費用を紹介します。
がんの治療にかかる費用 | 詳細 |
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医療費 | 一般的に手術・放射線・抗がん剤ががんの三大治療といわれています。入院を伴う治療や最近では通院での治療も増えています。 公的医療保険制度対象の所定の治療を受け、かかった医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で年齢や所得に応じて定められている上限額(自己負担限度額)を超えた場合に、高額療養費制度を利用すると、その超えた金額の支給を受けることができます。そのため、自己負担する医療費をある程度抑えることができます。一方、公的医療保険制度の対象にならない先進医療や自由診療を受けた場合は、全額自己負担となり医療費は高額になる可能性があります。 |
がんの治療以外にかかる費用 | 入院時の差額ベッド代や診断書代等は公的医療保険制度対象外となり、医療費とは別に費用がかかります。また、がんの治療により外見に変化が生じた場合、それをカバーするための医療用ウィッグや乳房の再建手術にかかる費用等も発生する場合があります。 さらに、治療により長期間働けなくなった場合は、生活費の補填も考える必要があります。 |
がん保険の主な保障内容
がん保険で受取れる給付金は主に7つです。そして、それぞれの保険商品ごとに受取れる給付金額・保障内容は異なります。まずは基本的な保障内容を一つひとつ理解しましょう。
保障の種類 | 保障の内容・特徴 |
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がん診断一時金 | がんと診断確定された際に、まとまった金額の給付金や一時金を受取れます 1回しか受取れない保険商品や、条件を満たせば複数回受取れる保険商品もあります |
がん入院給付金 | がんの治療を目的とした入院をした際に、入院日数に応じて給付金を受取れます 支払い日数無制限のプランが一般的です |
がん治療給付金 | がんの治療を目的とした所定の治療を受けた際に、給付金が受取れます 対象は公的医療保険制度対象の手術、放射線治療、抗がん剤治療等です |
がん通院給付金 | がんの治療を目的とした通院をした際に、通院日数に応じて給付金を受取れます 入院を支払い条件として、入院前後の通院に支払われるタイプが一般的です |
がん先進医療給付金 | がんの治療を目的とした所定の先進医療を受けた際に、先進医療にかかる技術料を保障します 保障金額は通算最大2,000万円までのプランが一般的です |
自由診療給付金 | 公的医療保険制度の対象にならない自由診療や患者申出療養(※)による治療を受けた際に、給付金を受取れます ※患者申出療養は、困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものです(出典:厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/moushideryouyou/) |
がん緩和療養給付金 | がんを直接の原因とするがん性疼痛の緩和を目的として、公的医療保険制度の対象となる所定の緩和療養を受けた際に、給付金を受取れます |
がん保険の主な種類
がん保険は、保険期間と保障内容で分類できます。保険加入前に、それぞれのメリット・デメリットを理解しましょう。
・保険期間別の2タイプ
がん保険は、保険期間別に定期タイプと終身タイプの2つに分類することができます。
定期タイプのがん保険は5年や10年等、保障を受けられる期間があらかじめ決められています。保険期間終了後は、更新等を検討することになります。がん保険はがんの治療方法の進歩に伴って、新しい保険商品や保障内容も増えるので、別のがん保険への切り替えや特約の追加等を検討するよい機会になるでしょう。ただし、更新する場合は、更新時の年齢にて保険料が再計算されるため、更新のたびに保険料が上がることが多いです。
一方、終身タイプのがん保険は、一生涯保障を受けられます。定期タイプのがん保険と比較して保障される期間が長い分、保険料がやや高い傾向がありますが、契約内容を変更しない限り、基本的に保険料は変わりません。ただし、過去に加入したがん保険の場合、最新のがんの治療方法に保障内容が合わなくなっている可能性がありますので、注意が必要です。一生涯保障されるとしても、定期的な保障内容の見直しはしたほうがよいでしょう。
・保障内容別の2タイプ
がん保険は、保障内容別に定額給付タイプと実費補償タイプの2つに分類することができます。
まず定額給付タイプのがん保険は、給付金の支払い条件を満たした場合、かかった医療費の金額とは関係なく加入時に定められた給付金額を受取れるがん保険です。がん診断一時金やがん入院給付金等がこれに該当し、主に生命保険会社で販売されています。がん診断一時金のように、治療と関係なく支払われる給付金の場合、医療費以外の生活費等に給付金を充てることもできます。
次に実費補償タイプ(実損てん補タイプ)のがん保険は、実額(実際に使った費用)が補償されるがん保険で、主に損害保険会社から販売されています。公的医療保険対象の医療費だけでなく自由診療の費用も全額補償される保険商品もありますので、想定以上に医療費が高額になってしまっても、安心して治療が受けられる可能性が高まります。
がん保険を選ぶ際のポイント
がん保険を選ぶ際のポイントを解説します。先述した保障内容や保障期間に注目しましょう。
悪性新生物と上皮内新生物がどちらも保障対象になる保険が望ましい
悪性新生物とは、「がん」の別名で悪性腫瘍のことを指します。そして上皮内新生物とは、腫瘍が臓器の表面である上皮内に留まっている状態で、それ以上は浸潤していない初期のがんのことをいい、「上皮内がん」と呼ばれています。上皮内新生物は、がんのステージでは0期にあたるため、多くの場合手術で取り除くことが可能で、転移していることはほとんどありません。
がん保険を選ぶ際は、上皮内新生物も悪性新生物と同じように保障される同額保障タイプの保険商品を選ぶことが望ましいでしょう。中には、がん診断一時金の支払い条件が悪性新生物に限定されている保険商品もあるので、注意が必要です。特に女性特有のがんは上皮内新生物の段階で診断されるケースが比較的多いです。さらに乳がんの治療では、0期であっても手術後に放射線治療が必要になるケースや、乳房の再建手術を行うことがあるため、悪性新生物と同様の保障を受けられるほうが安心できるでしょう。
がん診断だけで保障を受けられる保険商品がおすすめ
がんの診断確定後、治療が始まる前でも給付金を受取れる保険商品がおすすめです。診断後すぐにまとまったお金を受取ることができると、通院のみの医療費や当面の生活費に充てることで、治療に専念することができます。
給付金の支払い条件は保険商品によってさまざまなので、契約前には保障内容に十分目を通しておきましょう。がんの診断確定だけでは給付金が支払われず、がんの治療のために入院や手術等を受けることが支払い条件となっているものもあります。がんの治療方法は進歩が著しく、今後新しい治療方法が出てくる可能性を考えると、支払い条件に縛られずがんと診断確定された時点で給付金を受取れるかどうかはがん保険を選ぶ際の重要なポイントとなります。
がん保険の選び方は将来の経済的リスクに直結するため、保障内容の検討は慎重に行ってください。保険の専門家に相談する等して、疑問や不安を解消することが大切です。
がん診断一時金が複数回支払われる保険商品がおすすめ
がん診断一時金は複数回支払われる保険商品がおすすめです。がんは再発・転移する可能性があり、何度も発症するリスクがあるからです。治療が長期に渡ると、精神的な負担も大きく、就労にも影響が出る等、医療費以外にも経済的な負担は大きくなります。最近では条件を満たせば1年ごとに複数回受取れる保険商品も出てきています。2回目以降の受取り条件も各社で異なりますので、ぜひ保険の専門家に相談してみてください。
がん先進医療給付金はつけたほうが無難
まず「先進医療」とは、厚生労働省から認められている高度な医療技術のうち、公的医療保険の対象になっていないものを指します。そのため、先進医療にかかる費用は全額自己負担となります。
がんの治療に先進医療が適用される確率は低いですが、重粒子線治療や陽子線治療には、300万円前後の費用がかかり、医療費が全額自己負担になるリスクを考慮すると、付加するのが無難です。
また、医療保険に加入されている方で、先進医療給付金が保障に含まれている場合は、保障が重複するため、がん先進医療給付金を付加する必要はありません。
長期間の通院や治療に備えられる保険商品がおすすめ
通院保障が充実したがん保険商品がおすすめです。がんの治療は一般的な病気やケガより長引きやすく、長期に渡る通院治療が必要なケースが多いためです。
従来のがんの治療の多くは入院して手術するのが一般的でしたが、現在では医療技術の進歩により放射線治療や抗がん剤治療、ホルモン剤治療を通院で受けるケースが一般的になりました。そのため通院保障の重要性はより高まっています。
がん保険の選び方に関するよくある質問
がん保険の選び方に関して、疑問にあがりやすい「がん保険と医療保険のどちらに加入するのがよいか」「がん保険は何歳まで必要か」について解説します。
がん保険と医療保険はどちらに加入するのがよいですか?
医療保険よりがん保険を優先したほうがよい方は、治療に充てられるだけの貯蓄がない方、自営業者等傷病手当金を受給できない方、医療保険に入っていてもがんへの保障が足りていない方です。万が一がんに罹患した場合、医療保険でカバーされる保障内容は入院中に受けた治療が中心で、通院治療が長期に渡る放射線治療や抗がん剤治療等を受けた場合、医療保険だけでは医療費の準備が困難となる可能性が高いためです。
反対に、がんの医療費を貯蓄や加入中の医療保険でまかなえる場合は、がん保険に入る必要性は低いでしょう。
がん保険は何歳まで必要ですか?
がんの種類によって、罹患しやすい性別や年齢は異なります。また、年齢が上がるほど、がんの罹患率は上昇します。さらに、一生のうちがんと診断されるのは2人に1人ともいわれていますので、万が一の時でも希望する治療や緩和療養が受けられるよう、長期間保障されるがん保険に加入することがよいでしょう。
がん保険の選び方では給付金の支払い条件や通院保障等が大切
今回はがん保険の選び方について、基礎知識から選ぶ際のポイントまで解説しました。最新のがんの治療に対応していて、長期間の通院・再発の際の治療に対応できるようなプランを選びましょう。
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