新NISA口座の金融機関の変更はできる?
変更の流れやメリット、注意点を解説

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新NISAをはじめとした投資をしていくうちに、別の金融機関に口座を変更しようと考える方もいるのではないでしょうか。新NISAは1人1口座と決まっているため、別の金融機関を利用したい場合には金融機関を変更する必要があります。ただし、変更するにはルールや注意点があります。

この記事で新NISA口座の金融機関を変更する方法やメリット・デメリット、手続きの流れなどについて解説するので参考にしてください。

新NISA口座の金融機関変更は年に1回まで

新NISA口座を開設したあとに金融機関を変更したい場合、年に1回まで変更できます。ただし、制度上の決まりとして「変更したい年の前年10月1日~当年の9月末まで」に変更を済ませる必要があります。

しかし、変更したい年に一度でも金融商品の買付をしている場合、その年の変更はできず翌年分まで待たなければなりません。これは、新NISA口座の金融機関変更には、年間非課税投資枠のように「年単位」の決まりがあるためです。

例えば、2024年1月に新NISA口座を開設し、2024年6月に金融機関変更をしたくなったとします。基本的には2024年9月末までに変更手続きを行えば、別の金融機関で新NISAを利用できます。しかし、変更するまでに2024年分の買付を一度でもしていれば2024年分の金融機関変更はできません。

その場合には、2025年分からの金融機関変更として、2024年10月以降に手続きをする必要があります。

新NISAの口座変更手続きの流れ

金融機関変更は、現行(変更前)の金融機関で行う手続きと、新たに利用したい金融機関で行う手続きがあります。それぞれの金融機関でいくつかステップを踏む必要があるため、流れを確認しておきましょう。

変更前の金融機関に口座変更申請をする

まずは現行の金融機関に口座変更したい旨を申請します。金融機関から「金融商品取引業者等変更届出書」が送付されるので、印字されている住所や氏名に誤りがないか確認し、必要事項を記入して返送しましょう。

新しい金融機関に口座開設の申請をする

次に、新たに利用したい金融機関でNISA口座の開設を申請します。申請後、金融機関から「NISA口座開設申込書」が送付されます。

なおNISA口座を開設するためには、当該金融機関の証券口座が必要です。変更先の金融機関で証券口座を開設していない場合は、証券口座の開設申込みも行いましょう。ネット証券をはじめ証券口座とNISA口座を同時に申し込める金融機関も多くありますが、証券口座の開設をしてからNISA口座開設申込みとステップを踏む必要がある金融機関もあります。詳細な流れに関しては、変更を希望している金融機関のサイト等で確認しておきましょう。

変更前の金融機関から廃止通知書を受け取る

「金融商品取引業者等変更届出書」の提出が完了すると、変更前の金融機関から新たに「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が送られます。これらの書類を受け取ると、基本的に現行の金融機関での手続きは完了です。

なお、これらの書類は変更後の金融機関に提出する書類です。紛失や破棄をしないよう、大切に保管しましょう。

勘定廃止通知書と非課税口座廃止通知書
「勘定廃止通知書」と「非課税口座廃止通知書」の違いを知っておくことも大切です。

「勘定廃止通知書」とは、新たにNISA口座で買い付ける金融機関を変更しても変更前のNISA口座で保有している商品は、そのまま非課税で管理できることを通知するものです。

「非課税口座廃止通知書」は、変更前の金融機関のNISA口座を廃止したことを通知する書類です。この場合には、変更前のNISA口座で保有していた商品をその金融機関の課税口座に移管するか、金融商品を売却する必要があります。

基本的には投資をする当事者の意向によってどちらかを選択できますが、金融機関によって取扱いが異なる場合があります。変更を申し出る際に金融機関へ確認しておきましょう。

新しい金融機関に必要書類を提出する

新しい金融機関に対して、NISA口座開設に必要な書類を提出します。必要書類は以下のとおりです。

  • 非課税口座開設届出書(変更先の金融機関から送付されます)
  • 勘定廃止通知書または非課税口座廃止通知書(変更前の金融機関から送付されます)
  • 本人確認書類
  • マイナンバー確認書類

変更先の金融機関で書類が受理された後、不備がないか確認が行われ税務署の審査が終われば金融機関変更は完了です。

口座変更にかかる期間

NISA口座の金融機関変更を申請してから変更完了までの期間は、変更前と変更先の各金融機関によって異なります。

変更前の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を返送後、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が届くまでの目安が約1週間です。変更先の金融機関に必要書類を提出してからNISA口座が開設されるまでは、税務署の審査を含めて2~4週間が目安です。合わせて3週間~1か月の期間を目安に、余裕を持って手続きしましょう。

新NISAの口座変更をするメリット

新NISAの口座を変更するにはさまざまなステップを踏む必要があり、面倒に感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、変更することで享受できるメリットも少なくありません。以下で主なメリットを見ていきましょう。

取引手数料が抑えられる可能性がある

投資信託や株式を売買する際には、金融機関に支払う取引手数料がかかります。手数料の額は各金融機関が設定するため、同じ商品を購入する場合でも金融機関によってさまざまです。現行よりも手数料の安い金融機関に変更すれば、取引手数料を抑えられる可能性があります。

投資できる商品の選択肢が増える可能性がある

新NISAの対象となる金融商品のうち、実際に選択できる商品は金融機関によって異なります。例えば、銀行では投資信託は選べますが株式は選べません。また、投資信託を選びたい場合でも、各金融機関が取り揃えている投資信託の取り扱い数はそれぞれ違います。銀行から銀行、銀行から証券会社、証券会社から証券会社など変更パターンはさまざまですが、金融機関を変更することで投資できる商品の選択肢が広がる可能性があります。

サービスやサポート体制が充実する可能性がある

金融商品の取り揃えと同様に、サービスやサポート体制も金融機関によってさまざまです。例えば、クレジットカードを用いた積立投資でポイントが貯まったり、取引や口座管理をしやすいアプリを提供していたりするところもあります。また、金融商品の最低買付金額も金融機関によって異なります。金融機関を変更することで、サービスやサポート体制が充実し、より使いやすくなる可能性があります。

口座変更する際の注意点

金融機関を変更する際には注意すべきこともあります。中でも以下の注意点はとくに理解しておきましょう。

金融商品の移行はできない

NISA口座の金融機関は変更できますが、現行の金融機関にあるNISA口座で保有している金融商品を、新しい金融機関のNISA口座へ移行することはできません。

前述したように、「勘定廃止」をした場合には変更前の金融機関ではNISA口座での買い付けはできなくなりますが、すでに保有している商品はそのまま非課税で管理できます。この場合、複数の金融機関にあるNISA口座に資産が分散します。年単位で変更できるからといって変更を繰り返すと、管理が複雑になってしまうため注意しましょう。

金融商品の管理口座を一本化したい場合は、現行の金融機関で保有している商品を売却して変更先の金融機関で新たに買い付けする方法もあります。

金融商品を購入すると翌年まで変更ができない

変更したい年の1月1日以降にNISA口座を通して金融商品を購入すると、その年分の金融機関変更はできません。その年の10月を待って翌年分からの変更申請をする必要があります。

特に、積立投資の設定をしている場合には自動的に買い付けされてしまうため、積立設定の解除申請も必要です。設定解除の申請をしてから手続き完了となるまでのタイミングも考慮したうえで、手続きを進められるよう注意しておきましょう。

口座変更はルールに注意しながら手続きを進めよう

新NISA口座の金融機関は、年単位で変更が可能です。金融機関を変更すれば、投資できる金融商品の選択肢やサービスが充実する可能性があり、長い目で見たときの資産形成でもプラスに作用することが期待できます。しかし、変更できる期間のルールや金融商品を購入するタイミングなど、気をつける点もいくつかあります。金融機関を変更したい場合には、変更後の口座管理も念頭に置きながら、長く付き合えそうな金融機関を選ぶことも大切です。

「ほけんの窓口」では、新NISAの口座開設から管理まで、新NISAを活用した資産形成へのお手伝いをしています。一人ひとりの資産形成に対するご希望やリスク許容度に合わせ、金融商品や金融機関の選び方等のアドバイスも行います。金融機関変更を検討されている方はお気軽にご相談ください。

ほけんの窓口グループ株式会社 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第1020号
金融商品取引法に基づく表示 https://www.hokennomadoguchi.co.jp/kinsyouhou/

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ほまどNISA相談室 NISAの取扱いを一部の店舗ではじめました。

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