50代の保険の見直しは不要?
選び方や見直す際のポイントについて解説
選び方や見直す際のポイントについて解説
50代を迎え、ライフステージの変化等から、保険の内容を見直そうと考えている人もいるでしょう。一方で、「50代から保険の見直しは必要なのかどうか」と悩む人も少なくありません。そもそも、50代から保険の見直しは必要なのでしょうか。また、50代で保険の見直しをすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、50代における保険の見直しの必要性や保険で備えたいリスクの他、保険の選び方、保険を見直す際のポイント等について解説します。
50代の保険は必要?
50代の人にとって、保険の内容を見直すことは非常に大切です。保険への加入や見直しと聞くと、「結婚や出産でライフステージが変わる20~30代で行うもの」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、50代も、子どもの独立や親の介護、自身の老後への備え等、ライフステージが大きく変わりやすい年代です。
また、一口に50代といっても、生活環境や家族の状況は人それぞれで違います。例えば、子どもの年齢や人数によっては教育費負担が続く家庭もありますし、住宅ローンの返済をしている家庭もあるでしょう。それまでに比べて体の不調を感じやすくなったり、同年代の知人が大きな病気をした話を聞いたりして、健康面に不安を覚えるケースも少なくありません。
このようなライフステージや健康状態の変化に合わせて、保険を改めて見直すことが重要です。
50代の保険加入率
実際に50代ではどれくらいの人が生命保険に加入しているのかを見てみましょう。
生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」の世代別の生命保険の加入率を見ると、すべての世代でもっとも高いのは世帯主が55~59歳の場合で、94.8%です。また、世帯主が50~54歳でも93.0%と、非常に高い加入率となっています。
また、病気やケガによる入院等のリスクに備えに関しては、生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、公的医療保険以外に備えている50代は約90%にのぼり、備える方法として多いのが生命保険や損害保険です。
これらの結果からも、50代の大半が、保険での備えが必要と考えていることがわかります。
※出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf
※出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf
50代から想定されるリスク
50代で保険の内容を見直す際には、ライフステージの変化に加えて、健康リスクについても考慮する必要があります。厚生労働省「令和2年 患者調査」によると、医療機関の受療率(人口10万人に対する人数)は、入院・外来ともに年齢が高くなるほど上昇しています。
■40代、50代、60代の受療率
※出典:厚生労働省「令和2年 患者調査」p9
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/jyuryouritu.pdf)を基に作成
また、50代になるとがんの罹患率も高くなっていきます。国立研究開発法人がん研究センターが公表している「がん統計」(全国がん登録)の全国年齢階級別罹患率(2019年)を見ると、がんの罹患率は年齢が進むにしたがって徐々に高くなります。55~59歳では人口10万人あたり682.5例、60~64歳になると1022.9例と、大きく上昇しています。
■がん罹患率の年齢による変化(全がん)
※出典:国立がん研究センターがん情報サービス「「がん統計」(全国がん登録)」
(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html)を基に作成
50代から見直したい保険の種類
想定されるリスクを踏まえて、50代から見直したい保険の種類について解説します。保険の目的を再確認しながら、改めて必要な保障内容等の見直しを検討しましょう。
死亡保険
死亡保険は、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった際に、あらかじめ定めた死亡保険金や高度障害保険金が支払われる保険です。死亡保険には、一定期間のみ保障を受けられる定期保険と、一生涯保障が続く終身保険の大きく2種類があります。
定期保険は終身保険に比べて保険料が割安ですが、一般的に解約返戻金がないか、あってもごくわずかです。また、保険期間が10年や20年等と決まっており、継続する場合は更新や新規加入が必要です。50代の場合、満期を迎えるのが60代や70代になるため、健康状態の変化等によってはその後の再加入が難しくなる可能性があります。新規加入を希望する場合は、保険会社や保険代理店に相談することをおすすめします。
一方、終身保険は一生涯にわたって保障が続きますが、定期保険に比べて保険料は割高です。なお、終身保険を解約した場合は、それまで払込んだ保険料や保険期間に応じた解約返戻金を受取れます。
医療保険
医療保険は、病気やケガで入院したり、所定の手術や治療を受けたりした際に、給付金を受取ることができる保険です。50代以降になると、それまでに比べて病気やケガのリスクが高まるため、医療保険への加入や保障内容等の見直しをするケースが多いでしょう。医療保険に加入していると、先進医療や入院中の食事代、差額ベッド代といった、公的医療保険ではカバーできない医療費負担にも備えることができます。
がん保険
がん保険は、がんの保障に特化した保険です。がんと診断された時や、がんによる入院・手術をした時の他、がんの通院治療を受けた時等に給付金が受取れます。
前述したように、50代以降はがんの罹患率も高くなります。がんによる入院や通院の期間が長引いた場合、経済的な負担が伴うことも少なくありません。がん保険は、こうしたがんによる経済的負担に備えることが目的です。
傷害保険
傷害保険は、日常生活におけるケガで入院・手術、死亡した場合等に給付金を受取れる保険です。50代以降になると、徐々に足腰の筋力が衰え、ちょっとした不注意が思いがけないケガにつながることも増えてくるでしょう。ケガの治療による医療費の自己負担分をカバーしたい場合は、傷害保険への加入や補償内容等の見直しがおすすめです。
介護保険
介護保険は、介護が必要になった際に、公的介護保険を補完し経済的な負担を軽減するための保険です。50代は、自身の老後についても考え始める時期といえます。高齢になって要介護認定を受ければ公的介護保険を利用することはできますが、それだけで必要な費用をカバーできるとは限りません。民間の介護保険に加入していれば、経済的な介護リスクに備えることができます。
個人年金保険
個人年金保険は、国民年金や厚生年金といった公的年金を補う目的で、個人が任意で加入できる私的年金のひとつです。50代になり、定年後の生活を考えた時、「公的年金や退職金だけでは老後資金が不足するかもしれない」と不安に感じる人も多いかもしれません。定年後のセカンドライフを見据えて、計画的に資産形成をしたい場合には、個人年金保険への加入や保障内容等の見直しがおすすめです。
50代から保険を見直す際のポイント
50代は、住宅ローンが終わったり、子どもが独立したりして、死亡保障の額を減らせることがある一方で、病気やケガのリスクに備える医療保険や介護保険等の必要性が高まってきます。また、退職後の生活を見据えて、今後、保険料が無理なく払えるかどうか、預貯金とのバランスを考えて保障内容を考えることが必要になるでしょう。
このことを踏まえた上で、保険の種類別に50代から保険を見直すポイントをご紹介します。
死亡保険
死亡保険については、加入している死亡保険の保障内容を確認し、現在のライフステージや預貯金に応じた保障金額になっているかどうかを見直しましょう。
50代に必要な死亡保障は、家族の状況等によっても異なります。例えば、生命保険の場合、まだ子どもに教育費がかかるなら保障を手厚くしたほうが安心ですが、すでに子どもが独立しているなら、葬儀費用や遺族の生活費を考慮した上で保障額の見直しを行うことをおすすめします。
医療保険・がん保険
50代になると、がんをはじめとする病気やケガのリスクが高くなるため、医療保険やがん保険の保障が十分かどうかの確認が必要です。若い頃に加入したまま保障内容の見直しをしていない場合、備えが不十分になることも少なくありません。特に、一昔前の医療保険やがん保険の場合、現在の治療内容に対応しておらず、必要な保障が受けられない可能性があります。
ただし、50代から医療保険やがん保険に新規加入しようとすると、保険料が高額になったり、健康状態によって加入できなかったりすることがあります。自分に合った保障を検討したい場合は、保険の専門家に相談するとよいでしょう。
傷害保険
ケガでの入院・通院に備えたい場合は、傷害保険への加入や補償内容等の見直しを検討しましょう。特に、日常的な自転車の利用の他、ウォーキングやゴルフ、登山等のスポーツや旅行を趣味にしている場合は、傷害保険の内容をしっかり見直すことをおすすめします。
また、家族全員が被保険者となる「ファミリータイプ」を選べる傷害保険なら、同居の家族も保障対象になり、個人で別々に加入するより保険料が割安になる場合があります。
介護保険
介護保険を見直す際は、年金や預貯金等で介護費用をまかなえるのかどうか、改めて確認してみましょう。今後ますます高齢化社会が加速するといわれる中、50代以上の人にとって、介護リスクへの備えは非常に重要です。
「介護が必要になっても公的介護保険を利用できるだろう」と考えている人もいるかもしれませんが、公的介護保険は原則介護サービスそのものが給付されるので、現金を受取ることはほとんどありません。さらに、公的介護保険では利用上限額が定められており、超過した費用は全額自己負担です。
将来の介護による経済的な負担に不安を感じる場合は、元気な50代のうちに介護保険への加入、保障内容等の見直しを検討しておくことをおすすめします。
個人年金保険
保障と同時に老後の資産形成を考えるなら、個人年金保険でカバーする金額が十分かどうかを見直すことをおすすめします。定年を間近に控えた50代から、老後の生活資金に対する備えについて、しっかりと考えておくと安心です。今一度、現実的な老後のライフプランを描き直し、公的年金や預貯金の額を確認した上で、必要額を確認してみてください。
50代から個人年金保険へ新規で加入する場合は、保険料の払込終了から年金の受取り開始までの期間を長くする等のポイントがあります。また、若い頃に加入した個人年金保険がある場合は、慌てて解約して損をすることがないよう注意が必要ですので、個人年金保険の加入、保障内容等の見直しの際は、保険会社や保険代理店へ相談しましょう。
50代の自分に合わせて保険の内容を見直そう
50代は、子どもの独立や自身の健康リスク等、生活を取り巻く環境が大きく変わりやすい時期です。定年も間近になり、老後の生活への備えを考えておく必要もあるでしょう。すでに保険に加入している場合も、50代になってライフステージが変化したタイミングで、保障内容等を見直すことが大切です。
50代から保険の内容を見直す際に、「現在の状況に合う保障がわからない」「この年齢から新しく保険に加入できるだろうか」等、疑問や不安を感じる場合は、保険の専門家に相談するのがおすすめです。
「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。50代からの保険加入・内容の見直しを検討する場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。