持病があっても入れる保険はある?
選び方とメリット・デメリットを解説
選び方とメリット・デメリットを解説
通常の生命保険は、加入の際に、健康状態の告知が義務付けられています。そのため、持病があると保険に入れるか不安になったり、保険への加入をあきらめてしまったりすることがあるかもしれません。
持病があっても入れる保険はあるのでしょうか。また、持病のある人が保険を選ぶ際には、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
ここでは、持病があっても入りやすい保険の種類や、それぞれのメリット・デメリット、持病のある人が保険を選ぶ際のポイントについて解説します。
持病があっても入りやすい保険とは
持病とは、その人が長期間かつ慢性的に患っている病気のことを指すのが一般的です。「基礎疾患」や「慢性疾患」等とも呼ばれ、例えば、糖尿病や高血圧、高脂血症、リウマチ、アレルギー性疾患等が挙げられます。似た言葉に「既往症」がありますが、既往症は、過去に罹患したがすでに完治した病気等のことを指します。
一般的に、生命保険の加入時には、持病や既往症等の健康状態の告知が求められるため、「持病のある人は保険に入れない」と思われがちです。しかし、持病や入院・手術の経験があり、通常の保険に加入ができない人向けの保険として、申込時の告知項目が少ない「引受基準緩和型保険」と、告知なしで申込める「無選択型保険」があります。
引受基準緩和型保険は、限定告知型保険、選択緩和型保険とも呼ばれ、通常の保険よりも加入時の審査がゆるやかな保険です。一方、無選択型保険は、無告知型保険とも呼ばれ、健康状態にかかわらず加入できる保険のことを指します。
既往症については、以下の記事をご覧ください。
既往症とは?既往歴や持病との違い、告知の必要性や入れる保険を解説
引受基準緩和型保険のメリット
持病があっても入りやすい保険として、まず挙げられるのが、引受基準緩和型保険です。引受基準緩和型保険には、主に次のようなメリットがあります。
通常の保険よりも告知項目が少ない
保険の加入時には健康状態等について保険会社に告知する必要がありますが、引受基準緩和型保険では、そもそもの告知項目(保険会社からの質問)が通常の保険より少なく設定されていることがメリットです。
一般的に、通常の保険の告知項目が7~10項目程度であるのに対し、引受基準緩和型保険の告知項目は、3~6項目程度です。項目をクリアすれば申込み可能なので、持病のある人でも加入しやすいといえます。ただし、特約を追加した場合は、告知項目が増えることがあるので注意しましょう。
告知項目は保険会社によって異なりますが、以下に一般的な例を挙げます。
<引受基準緩和型保険の告知項目の例>
- 過去の一定期間内に、医師から入院・手術・検査等をすすめられたことがある
- 過去の一定期間内に、病気やケガで入院・手術等をしたことがある
- 過去の一定期間内に、がんや肝硬変、認知症、アルコール依存症、統合失調症等の所定の病気で医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがある
自分に合った保険を選びやすい
引受基準緩和型保険は、後述する無選択型保険に比べて自分に合った保険を選びやすいこともメリットです。引受基準緩和型保険には、医療保険や死亡保険、がん保険、介護保険等さまざまな種類があります。また、保険期間についても、保障が一生涯続く終身型や、一定期間の保障を得られる定期型を選べる保険もあります。特約を付帯できる保険商品も多いため、持病があっても自分に合った保険を見つけやすいでしょう。
加入前の持病も保障対象になる
引受基準緩和型保険のメリットには、加入前からの持病も保障対象になる場合が多いことも挙げられます。このような保険であれば、持病が悪化して入院や手術が必要になった時も、所定の条件を満たせば給付金を受取ることができます。ただし、加入時点で医師からすすめられていた入院や手術に関しては、保障の対象外になることもあるため、加入時に条件を確認しましょう。
引受基準緩和型保険のデメリット
持病のある人でも入りやすい引受基準緩和型保険ですが、デメリットもあります。主なデメリットを見てみましょう。
通常の保険に比べて保険料が割高
引受基準緩和型保険は、健康状態に不安があっても加入しやすい反面、通常の保険に比べて保険料が割高です。また、保険期間や払込期間、付帯できる特約の種類等が、通常の保険よりも制限される可能性があります。
加入から一定期間は保障額が減額される
引受基準緩和型保険は、加入後一定期間は保険金額や給付金額が減額されることがあります。保険商品によって異なりますが、加入してから1年間は、給付される保険金が半額程度に減額されることが一般的です。なお、最近では、給付金の減額期間のない引受基準緩和型保険も販売されています。
無選択型保険のメリット
持病のある人でも加入しやすい保険のひとつである無選択型保険のメリットは、健康状態の告知や医師の診査が一切不要であることです。告知がないので、持病のある人でも、原則として健康状態を理由に加入を断られることはありません。
引受基準緩和型よりもさらに加入のハードルが低いため、通常の保険や引受基準緩和型保険に申込みができなかった人でも、無選択型保険であれば加入できる可能性があるでしょう。
無選択型保険のデメリット
無選択型保険には「健康状態の告知が不要」という大きなメリットがある一方で、知っておきたいデメリットやリスクもあります。ここでは、無選択型保険のデメリットについてご紹介します。
保険料は引受基準緩和型よりも割高
無選択型保険は、健康状態にかかわらず加入しやすい反面、保険料は引受基準緩和型保険よりもさらに割高です。また、保険金や給付金の上限額も低く設定されていることがほとんどです。
商品数が少ない
無選択型保険は商品数が少なく、保険選びの際の選択肢が限られます。特に、医療保険は少ない傾向があります。保険期間についても、死亡保険は終身型、医療保険は定期型が一般的です。商品数が少ないため、自分のニーズに合った保険を見つけづらいというデメリットがあります。
免責事由が広い
無選択型保険は、通常の保険や引受基準緩和型保険に比べて免責事由が広く設定されていることもデメリットのひとつといえます。免責事由とは、保険金や給付金が支払われない事由のことです。
例えば、「加入日から1~2年の間に病気が原因で亡くなった場合は、死亡保険金が支払われず、払込んだ保険料に相当する金額が返還される」「加入して一定期間(約90日間)の病気は保障対象外または給付金額が減額される」「契約前の持病の悪化は保障されない」等、保険商品によって内容は異なりますが、保障内容が制限されることが一般的です。
引受基準緩和型保険の商品については、以下のページをご覧ください。
引受基準緩和型保険の商品ラインナップ
持病のある人が保険を選ぶ際のポイント
持病のある人が保険への加入を希望する場合は、まず通常の保険に申込みができないかを確認し、その後、引受基準緩和型保険、無選択型保険の順で検討を進めていくことがポイントです。
持病があるからといって、必ずしも通常の保険に加入できないとは限りません。たとえ持病があっても、病気の種類や現在の健康状態によっては、通常の保険への加入が可能な場合もあります。また、通常の保険では、保険会社の審査により「特定の部位または疾病を一定期間保障の対象から外す」「上乗せで特別保険料を払込む」「保険金額を削減する」等の特別条件が付き、その条件を承諾することで加入できるケースもあります。
持病のある人が保険への加入を検討する際は、保険会社や保険代理店に相談してみましょう。
健康状態に合わせて加入できる保険を見極めよう
持病があっても入りやすい保険には、引受基準緩和型保険や無選択型保険があります。しかし、引受基準緩和型保険や無選択型保険は、通常の保険に比べて保険料が割高な上、保障が制限されることがほとんどです。持病があっても、健康状態や既往歴によっては、通常の保険に加入できる場合もあります。「持病があるから保険には入れない」「引受基準緩和型保険か無選択型保険しか選択肢がない」と考えず、まずは通常の保険から加入できる保険を探していきましょう。
とはいえ、告知項目や条件等は保険会社や保険商品によっても異なるため、自分だけで比較検討するのは大変です。持病がある場合の保険選びに迷った時には、「ほけんの窓口」に相談するのがおすすめです。「自分に合った保険をどうやって見つければいい?」「現在の健康状態で入れる保険はある?」等のお悩みも、お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。