ドル建て保険はやめたほうがいい?
加入のメリット・デメリットを解説

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日本円ではなく米ドルや豪ドルで運用される保険のことを、ドル建て保険といいます。日本で超低金利が続くなか、円よりも金利の高いドルで運用されることから、近年、注目が集まってきている保険です。しかし、一方では、「ドル建て保険はおすすめしない」という意見も聞かれます。ドル建て保険への加入は、何を基準に判断すればよいのでしょうか。

この記事では、ドル建て保険の概要や、ドル建て保険がおすすめしないといわれる理由、ドル建て保険のメリットやリスク等について解説します。

ドル建て保険とは?

外貨建て保険とは、払込んだ保険料が日本円ではなく外貨で運用される保険で、このうち米ドルや豪ドルで運用される保険をドル建て保険といいます。まずは、ドル建て保険がどのようなものなのか、その特徴や仕組みについて確認していきましょう。

ドル建て保険の特徴

ドル建て保険の特徴は、ドルで保険料の一部が運用されることです。また、保険料の払込みや、保険金・解約返戻金の受取り等も、日本円ではなくドルで行われます。ただし、一般的には日本円で入金・受取りができる特約があり、実際にドルで支払ったり受取ったりする必要はありません。日本円で払込んだ保険料がドルに換算され、同様に、保険金もドルから円に換算されて受取ることになります。

ドル建て保険が注目されている理由は、一般的な円建て保険との予定利率の違いにあります。予定利率とは、保険会社が契約者に対してあらかじめ約束する運用利回りのことです。予定利率が高ければ大きな運用収益を見込めるということになり、同じ保障内容でも保険料は割安に設定されます。そして、運用する通貨を発行している国の金利が高いほど、予定利率も高くなる仕組みです。

2023年11月現在、円建て保険に比べて、米ドル建て保険や豪ドル建て保険は、予定利率が高く設定されています。そのため、ドル建て保険のほうが効率よく資産を増やせる可能性があるとして話題となっているのです。

ドル建て保険については、以下の記事をご覧ください。
ドル建て保険とは?選び方やメリット・デメリットを解説

ドル建て保険の種類

ドル建て保険の種類には、主に終身保険、養老保険、個人年金保険等があります。円建て保険にもある保険商品ですが、異なる点としては払込んだ保険料が日本円ではなく外貨で運用されることが挙げられます。それぞれの保険の特徴は以下の通りです。

・終身保険

終身保険は、保障が一生涯続き、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった時に保険金が支払われます。自身の葬儀費用や遺族の生活費の確保、一定の財産を特定の人に確実に渡す等の目的で加入する保険です。

・養老保険

養老保険は、死亡保障と貯蓄を両立した保険です。契約時に定めた保険期間中に被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合に、保険金が支払われます。また、何事もなく保険期間が終了した場合には、死亡保険金と同額の満期保険金を受取ることができます。

・個人年金保険

個人年金保険は、老後の生活資金に備えるための保険です。60歳や65歳等、所定の年齢まで保険料を払込み、契約時に定めた受取開始時期になったら、一定期間または終身にわたって年金を受取ることができます。

払込んだ保険料の運用方法の違いによって、契約時に定めた予定利率が保証され、将来の受取額があらかじめ決まっている「定額個人年金保険(定額型)」と、選択した投資商品で運用され、運用実績によって将来の受取額が変動する「変額個人年金保険(変額型)」があります。

ドル建て保険はおすすめしないといわれる理由

ドル建て保険は、2023年11月現在の予定利率だけを見れば、円建て保険より保険料が割安で効率よく資産が増やせるように感じられます。しかし、ドル建て保険には、円建て保険とは異なる特性があるため、理解しないまま契約してしまい、トラブルや苦情につながっているケースも少なくありません。

なぜ「ドル建て保険はおすすめしない」といわれることがあるのか、その背景には主に次の2つの理由があります。

為替相場の変動によるリスクがある

ドル建て保険はおすすめしないといわれる大きな理由は、為替リスクがあるからです。為替リスクとは、為替相場の変動によって、資産の価値が上がったり下がったりする可能性のことです。

ドル建て保険はドルで運用するとはいえ、保険金等を円で受取るケースがほとんどでしょう。しかし、ドル建て保険には、円換算をした時の元本保証がありません。受取時の為替相場によっては、受取れる保険金が払込保険料の総額より少なくなってしまう可能性もあります。

費用がわかりにくい

ドル建て保険では、円建て保険にはない手数料が発生し、費用がわかりにくい点も、おすすめしないとされる理由のひとつです。ドル建て保険は、保険料の払込みや保険金の受取りにあたって、円からドル、ドルから円に両替する際には、そのたびに為替手数料がかかります。このようなドル建て保険特有の費用について、理解しないまま加入を決めてしまうと、想定外の費用が発生したと感じてしまうかもしれません。

ドル建て保険のメリット

ドル建て保険は、おすすめしないといわれることはあるものの、加入すると次のようなメリットもあります。ドル建て保険を検討する際には、メリットとリスクの両方をしっかり把握することが大切です。

保険料が割安になる可能性がある

ドル建て保険は、円建て保険と比較して保険料が割安になる可能性があります。2023年11月現在は、円建て保険よりドル建て保険の予定利率が高く設定されている状況です。この状況に変化がなければ、保険料は割安になるでしょう。

為替差益を得られる可能性がある

ドル建て保険には為替リスクがありますが、一方で為替相場の変動がプラスに働き、為替差益を得られる可能性もあります。保険金等を受取る時、保険料を払込んだ時よりも円安になっていれば、為替の値上がり分の利益を得ることができます。

リスク分散になる

ドル建て保険は、資産運用におけるリスク分散にも役立ちます。預貯金や円建て保険等、保有している資産が円だけだと、物価上昇によって相対的に通貨の価値が低下してしまうインフレリスクや、円の価値が下がった時に対応できません。ドル建て保険に加入していれば、資産が円とドルに分散されるため、リスクも分散されます。

ドル建て保険に向いている人

ドル建て保険は、円建て保険とは異なり為替変動の影響を受けますが、一方で比較的高い利回りを期待できる保険でもあります。そのような性質を踏まえ、ドル建て保険に向いているといわれるのは、主に以下のようなタイプの人です。

資金に余裕があり、資産運用に関心が高い人

ドル建て保険は、資金に余裕があり、なおかつ資産運用に高い関心を持っている人に向いている保険です。ドル建て保険は、将来の受取額が為替相場によって変動するため、受取額が減ってしまっても困らない資金の余裕が必要です。また、情勢によっては円建てより予定利率が高く、保険料が割安になって資産を増やせる可能性があるため、資産運用に関心が高い人向けといえるでしょう。

リスクを理解している人

ドル建て保険は、そのリスクを十分に理解している人向けの保険です。ドル建て保険は、為替相場の変動によって、将来利益を得られることもあれば、損失が出てしまう可能性もあります。その仕組みをわかった上で、資産を米ドルや豪ドルで運用したい人等に向いているといえます。

ドル建て保険に向いていない人

一方で、次のような人には、ドル建て保険は向いていないといえます。予定利率の高さだけで、安易に加入を決めないように気をつけましょう。

為替リスク等を理解できない人

ドル建て保険には為替リスク等があるため、それらを理解できない人はドル建て保険には向いていないといえます。ドル建て保険は、為替相場により資産価値の変動や損失が生じます。また、毎月払込む保険料や受取る保険金等の額も増減があるため注意が必要です。このような外貨建て保険特有のリスクや仕組みが理解できない人は、ドル建て保険への加入は向いていないといえるでしょう。

保険料の変動や保険金等の減少があると困る人

保険料の変動や保険金等の減少があると困る人は、ドル建て保険には向いていないといえます。ドル建て保険は、月々払込む保険料も為替相場の影響を受けます。また、円に換算した際の元本保証がないので、為替相場によっては元本割れが起こる可能性も考えられるでしょう。そのため、例えば将来の使用目的が決まっていて、受取れる金額が減ってしまうと困るというような場合には、不向きな保険といえます。

リスクを正しく知ってドル建て保険を検討しよう

ドル建て保険は、保険料が円ではなくドルで運用される保険です。情勢によっては、保険料が円建て保険と比べて割安になったり、保険金等の受取時に利益が得られたりする可能性がある一方で、為替相場によっては元本割れになってしまう可能性もあります。ドル建て保険への加入を検討する際には、為替や外貨建て保険の仕組みをしっかり理解した上で、目的に合った保険を選ぶことが大切です。

ドル建て保険に興味があるけれど、自分に合っているか等まだまだ不安に思う人も多いのではないでしょうか。「ほけんの窓口」では、ドルをはじめとする外貨建て保険に関する質問や相談が何度でも無料です。ぜひ「ほけんの窓口」にご相談ください。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子さん
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