学資保険の途中解約時の注意点は?解約返戻金や手続きについて解説
学資保険は、主に子どもの教育資金を準備するための生命保険です。学資保険に加入していると、子どもの進学のタイミング等、契約時に定めた時期に祝金や満期保険金を受取ることができます。学資保険は長期にわたって保険料を払い続けるため、「保険料の負担が重い」等の理由で途中解約を考えることがあるかもしれません。学資保険を解約する場合、どのような注意点やデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、学資保険を解約する際の注意点やデメリットの他、学資保険を解約せずに保険料の負担を軽減する方法や解約手続きの手順についても解説します。
学資保険は契約期間の途中で解約できる?
学資保険は、契約者本人の手続きによっていつでも解約が可能です。学資保険の保険料払込期間は、10年、15年、18年等、保険期間と同じ期間に設定されることが一般的ですが、契約途中であっても解約できます。解約に伴う違約金やペナルティ等もありません。ただし、解約時期によってはデメリットが生じる可能性があるため、学資保険を解約するかどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。
学資保険の解約返戻金とは?
「解約返戻金」とは、「解約払戻金」「解約返還金」とも呼ばれ、保険契約を解約した時に契約者が受取れるお金のことです。ただし、契約期間や支払った保険料総額等によって受取れる金額は変わり、短期間の契約では解約返戻金を受取れない場合もあります。
また、解約返戻金の額に占める払込保険料総額の割合を示す「解約返戻率」は、保険商品によって異なります。学資保険の解約をする場合は、必ず事前に解約返戻金について確認しておくことが大切です。
解約返戻金の金額の確認方法は、保険会社や保険代理店から加入検討時に受取るシミュレーション資料や、契約後に毎年送られてくる「契約内容のお知らせ」で確認できます。ただし、これらの書類で確認できるのは、解約返戻金の概算金額なので、正確な金額を知りたい場合は保険会社や保険代理店に直接問い合わせるとよいでしょう。
学資保険の返戻金については、下記の記事をご覧ください。
学資保険の返戻率とは?計算方法や返戻率を高くするポイントを解説
学資保険を解約した際のデメリット
学資保険を解約する場合は、解約によって生じるデメリットについてしっかりと把握しておくことが大切です。学資保険を解約する主なデメリットは、次のとおりです。
元本割れの可能性が高い
学資保険は途中解約すると、それまで払込んだ保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる、いわゆる「元本割れ」を起こす可能性が高い傾向にあります。特に、早期解約の場合は、解約返戻金を受取れない、または、受取れたとしてもごくわずかである場合があります。学資保険の解約を検討する際には、必ず事前に解約返戻金の金額を確認してください。
先払いした保険料は返還されない場合がある
先払いした保険料が返還されない可能性もあります。学資保険の保険料の支払い方法には、毎月支払う「月払」の他、半年に1回6か月分ずつを支払う「半年払」や、年に1回まとめて支払う「年払」等があり、一般的には先払いをするほど保険料の割引率は高くなります。しかし、学資保険を半年払や年払にしている場合は、解約した時に未経過期間の保険料が返還されない可能性があるため、注意が必要です。
保険法が施行された2010年4月以降の契約であれば、基本的に、解約をしても未経過分の保険料は返還されます。それ以前の契約の場合は、先払いした保険料の未経過分は返ってこない可能性があります。
保障がなくなり、教育資金の準備が滞るリスクがある
学資保険を解約すると、当然のことながら保障はなくなります。学資保険には、契約者である保護者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合であっても、教育資金を準備できる特約があります。以後の保険料が免除され満期保険金等が支払われる保険料払込免除特約や、満期を迎えるまで年金形式で保険金が支払われる育英年金特約等がその例で、解約することで、これらの保障もなくなってしまいます。
解約する人の中には、「学資保険で教育資金を準備できなくなっても、今後貯金をしていけばいいだろう」と考える人もいるかもしれません。しかし、保護者に万が一のことが起こり、収入が減ってしまった場合、貯蓄が滞ってしまうリスクがあることを覚えておきましょう。
学資保険の再加入が難しい場合がある
学資保険は、加入できる子どもの年齢に制限が設けられているため、再加入が難しい場合があります。加入できる子どもの年齢は、学資保険の保険商品によって異なりますが、多くは出生前140日から7歳くらいまでです。学資保険を解約した後、再度加入しようと思っても、子どもの年齢によっては希望する保険に加入できない可能性があります。
学資保険の再加入時に保険料が上がる場合がある
学資保険に再加入できたとしても、保険料が以前と同じとは限りません。一般的に、学資保険の保険料は、加入時の契約者や子どもの年齢によって決まり、年齢が上がるほど保険料も高くなります。再加入時にはその分年齢を重ねているため、同じ保障内容であっても保険料の負担が大きくなるでしょう。
学資保険を解約せずに、保険料の負担を軽減する方法
学資保険を解約する背景には、「保険料の負担が重くなった」「まとまったお金が必要になった」「他の保険に変更したい」等の事情が考えられます。
保険料の負担が理由で学資保険の解約を検討しているが、保障がなくなるのは困るという場合は、解約する前に保険料の支払額を減らす方法を検討するのもひとつの方法です。学資保険を解約せずに保険料の負担を軽減する方法を解説します。
保険金の減額
満期時に受取る保険金を減額することで、保険料の負担を軽減できます。保険金を減額すると、保険を継続したまま保険料の支払金額を少なくすることができます。保険商品によっては、保険金を減額した分は一部解約と見なされるため、解約返戻金を受取れる場合もあります。
特約の解約
学資保険に子どもの医療保険特約や保険料払込免除特約、育英年金特約等の有料の特約を付帯している場合は、特約だけを解約することで、毎月の保険料を軽減できる場合があります。学資保険に特約をつけると、保障内容は充実しますがその分保険料は上がります。逆にいえば、特約を解約すれば、支払う保険料を減らせるということです。
ただし保険料払込免除は、任意で付帯できる特約の場合と、契約時から保障内容として含まれる特則の場合があります。特則は後から外すことができないため、事前に契約内容を確認しておきましょう。
自動振替貸付制度の利用
学資保険の保険料が一時的に負担だと感じる場合は、自動振替貸付制度を利用することもひとつの方法です。自動振替貸付制度とは、保険料の支払いが滞り払込猶予期間を過ぎた場合に、解約返戻金の範囲内で保険会社が自動的に保険料を立て替える制度のことです。後日、立替分の返済は必要ですが、学資保険を解約せずに済みます。ただし、保険会社が立て替えた金額には所定の利息がかかります。
契約者貸付の利用
契約者貸付は、解約返戻金の一定範囲内の金額を、保険会社から借入れができる制度です。まとまった資金が必要になった時や、それによって一時的に保険料の支払いが困難になった場合等に、契約者貸付を利用して資金を準備することができます。なお、借入れた金額には所定の利息が発生します。また、借入金を返済できなかった場合は、解約返戻金や保険金額から未返済分が差し引かれるため注意が必要です。
払済保険に変更
将来にわたって学資保険の保険料の支払いが困難だと判断したら、払済保険に変更できる場合があります。払済保険とは、保険料の払込みを中止して、その時点の解約返戻金をのこりの保険期間の保険料にあてる方法です。払済保険に変更すると、保険料の支払いが不要になりますが、保険契約は継続され、保険期間も変わりません。ただし、満期保険金は少なくなり、特約の保障はなくなります。
学資保険の解約手続きの手順
学資保険の解約手続きは、一般的に書類提出によって行われます。口頭での申し出や単に保険料の払込みを中止しただけでは、解約の手続きを完了したことにはならないため注意が必要です。
学資保険を解約する際には、まず保険会社や保険代理店に連絡をして、必要書類を取り寄せ、必要事項を記入した上で提出します。本人確認書類の写し等の提出を求められる場合もありますので、保険会社の指示に従って準備しておきましょう。
その後、書類に不備がなく、解約書類が保険会社に受理されれば、数日間で解約手続きは完了です。保険会社によっては、インターネットでの申請で解約手続きができる場合もあります。
解約日は、一般的に、解約書類が保険会社に届いた日になりますが、インターネットで手続きをした場合は即日解約となることもあります。
学資保険の解約は慎重に検討しよう
学資保険は、契約者本人が所定の手続きを行えば、いつでも自由に解約することができます。しかし、学資保険を解約すると、さまざまなデメリットが生じる可能性があります。学資保険は、子どもの教育資金のための大切な備えです。もし保険料の負担が理由で学資保険の解約を検討している場合は、保険料を減額する方法を検討してみるのもひとつの方法です。
学資保険の見直しや解約に悩んだら、保険の専門家に相談することをおすすめします。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等、何度でも無料で相談できます。自分の家族に合った学資保険を検討したい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。