学資保険の祝金とは?かかる税金や据え置き制度について解説

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学資保険のなかには、子どもの進学等の節目に祝金を受取れる商品があります。学資保険で受取れるお金には、満期保険金や祝金がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、学資保険の祝金について、受取れるタイミングや満期保険金との違い、受取る際のメリット・デメリット等を解説します。

学資保険の祝金とは進学等のタイミングで受取れる一時金のこと

学資保険の祝金とは、子どもの進学等のタイミングで受取れる一時金のことです。幼稚園の入園、小学校や中学校、高校の入学等、祝金を受取るタイミングは、保険商品やプランによって異なります。また、商品によっては、祝金のない学資保険もあります。

学資保険については、以下をご覧ください。
学資保険とは?メリット・デメリットや仕組みについて解説

祝金と満期保険金の違い

学資保険で受取れるお金は、大きく分けて祝金と満期保険金の2種類です。祝金が保険期間中の節目に受取れる一時金であるのに対して、満期保険金は加入時に定めた満期日に受取れるお金です。一般的には、教育費が多くかかる大学への進学に備えて、大学入学時の17~18歳や、大学在学中の21~22歳に満期を設定するケースが多いでしょう。

祝金がある学資保険のメリット

学資保険に祝金があるかどうかは、保険商品によって異なります。では、祝金があると、どのようなメリットがあるのか、以下に見ていきましょう。

段階的に教育資金が受取れる

祝金のメリットは、満期を待たず、段階的に教育資金を受取れることです。一般的には、教育費の負担が大きくなるのは大学入学のタイミングですが、小学校・中学校・高校の入学時にも、制服や学用品、教科書代等のまとまったお金が必要になります。もし私立の学校に進学することになれば、さらにお金がかかります。また、家計も当初想定していた状況とは変わっているかもしれません。そのような場合でも、進学の節目ごとに祝金を受取ることができれば、家計の負担軽減につながり、入学準備にも余裕が持てるようになるでしょう。

据え置き制度が使える

据え置き制度を利用できることも、祝金のメリットです。据え置きとは、本来なら受取れるタイミングの祝金を、保険会社にそのまま預けておく制度のことです。預けた祝金には利息がつき、必要な時に自由に引き出せる保険商品もあります。祝金のある学資保険のプランを選んだ場合でも、収入や貯蓄で進学時の費用をまかなえそうな時は、据え置き制度を利用して祝金を運用に回し、満期保険金として一括で受取ることも可能です。受取るか据え置くかを柔軟に選択できる点が、祝金のメリットといえるでしょう。

祝金がある学資保険のデメリット

学資保険の祝金を受取る場合のデメリットは、返戻率が低くなる可能性があることです。返戻率とは、払込んだ保険料の総額に対して、受取れる金額の割合を示しています。学資保険の返戻率は保険商品ごとにあらかじめ設定されており、返戻率が高ければより多くのお金を受取れるということです。

保険会社は、契約者が払込んだ保険料の一部を運用して運用益を得ています。学資保険の祝金は積み立てた保険料から支払われるため、祝金を受取ると、その分、保険会社が運用できる資金や期間が減ります。その結果、満期保険金を一括で受取るプランに比べて、祝金を受取る回数が多くなるほど、返戻率が低くなってしまうのです。

学資保険の祝金を受取る際にかかる税金

学資保険の祝金には税金がかかります。税金の種類や計算方法は、保険料負担者と受取人の関係、祝金の受取り方によって次のように変わります。

■保険料負担者や受取り方によって変わる税金の種類

保険料負担者と受取人の関係受取り方税金の種類
保険料負担者と受取人が同じ一括受取り所得税(一時所得)
年金形式所得税(雑所得)
保険料負担者と受取人が異なる一括受取り、年金形式贈与税

保険料負担者と受取人が同じ場合

保険料負担者と受取人が同じ場合、祝金は所得税の対象になります。例えば、子どもを被保険者として契約した学資保険で、保険料負担者と受取人が父親となるようなケースです。

さらに、祝金を進学等の節目に受取る場合は一時所得、年金形式で受取る場合は雑所得とみなされ、それぞれ税金の計算方法が異なります。

・進学のタイミングごとに祝金を受取る場合:一時所得

子どもの進学等のタイミングで祝金を受取った場合は、一時的な臨時収入ということになるので、所得の種類は一時所得です。一時所得が祝金だけの場合は、受取った祝金の金額から、払込んだ保険料を差し引き、さらに特別控除額の50万円を引いて計算します。計算式としては、「一時所得の金額=祝金の金額-払込保険料総額-特別控除額(最高50万円)」となります。

一般的には、受取った祝金よりも、払込んだ保険料のほうが多くなるため、祝金の他に一時所得がなければ、実際に所得税が発生するケースはあまりありません。もし祝金のほうが多かったとしても、特別控除額の50万円を超えなければ所得税はかからない仕組みとなっています。

また、一時所得が50万円を超えた場合、課税対象になるのはその額の半分となります。

・年金形式で祝金を受取る場合:雑所得

例えば、大学在学中の4年間に年金形式で祝金を受取るような場合、所得の種類は雑所得になります。雑所得の金額は、その年に受取った祝金の額から、その金額に対応する払込保険料を差し引いた金額です。計算式は、「雑所得の金額=その年に受取った祝金-その年に受取った祝金×(払込保険料総額÷祝金総額)」となります。

会社員等の給与所得者の場合、基本的には、雑所得の合計が20万円を超えなければ所得税はかかりません。ただし、医療費控除を申請する人等、給与所得者でも確定申告を行う場合は雑所得も申告する必要があります。

また、自営業の場合は、雑所得とその他の所得(事業所得等)を合わせて48万円を超えたら所得税がかかり、確定申告が必要です。

保険料負担者と受取人が異なる場合

保険料負担者と受取人が異なる場合は、受取った祝金は贈与税の課税対象になります。例えば、保険料を親が負担し、祝金を子どもが受取るようなケースです。贈与税を算出する計算式は、「贈与税の額=(受取った祝金-基礎控除110万円)×税率-控除額」です。贈与税の税率と控除額は、基礎控除を差し引いた後の金額や、贈与する人と受取る人の関係性によって変わります。

贈与税には110万円の基礎控除があります。そのため、祝金の金額が110万円以下で、その年に他に贈与がなければ、贈与税はかからず申告も不要です。もし、祝金が110万円を超えた場合は、超えた分の金額に贈与税がかかります。

学資保険の祝金や満期保険金にかかる税金については、以下の記事をご覧ください。
学資保険の祝金や満期保険金に税金はかかる?契約ごとの違いを解説

学資保険の祝金の注意点

祝金は、すべての学資保険で受取れるわけではありません。保険会社や商品によっては、祝金がないプランもあります。加えて、祝金のある学資保険でも、受取るタイミングについて確認が必要です。例えば、中学校や高校に進学する節目で祝金を受取るプランだった場合、子どもが小学校に入学する時に祝金を使いたいと思っても、お金を受取ることはできません。家族にとって必要なタイミングで受取れるよう、加入時に確認をしておきましょう。

また、学資保険で受取れる祝金は、満期保険金と同様に、積み立てた保険料から支払われます。祝金という言葉のイメージから、プレゼントやボーナスのようにとらえられがちですが、積み立てた保険料の受取り方の違いという点を理解しておくことが大切です。

ライフプランに合わせて教育資金を計画的に備えよう

学資保険は、将来必要になる子どもの教育資金を、計画的に準備することができる手段のひとつです。子どもが生まれてから大学を卒業するまでには、多額の教育費がかかるため、子どもの誕生をきっかけに、学資保険への加入を検討する人も多いでしょう。

学資保険は、満期保険金の他に祝金があれば、教育資金を段階的に受取れますが、祝金なしのプランに比べて返戻率が低い傾向にあるため、注意が必要です。成長の節目に祝金を受取るのがよいのか、それとも、大きなお金が必要となる大学への進学時に一括で満期保険金を受取るほうがよいのかは、各家庭の考え方や家計の状況、家族構成等によって異なります。学資保険を検討する際には、それぞれの家庭のライフプランに合った保障内容を選ぶことが大切です。

ただ、学資保険に入りたいと思っても、「どうやって選べばよいかわからない」と悩む人は多いでしょう。学資保険で悩んだ際は、保険の専門家に相談することをおすすめします。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。自分や家族に合った学資保険を検討したい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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