がん保険の終身型と定期型の違いは?
選ぶポイントをわかりやすく解説

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がん保険は、日本人の2人に1人が生涯のうちにかかるといわれるがんに備えるための保険です。がん保険には、大きく分けて「終身型」と「定期型」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、がん保険の終身型・定期型のそれぞれの特徴やメリット・デメリットの他、がん保険を選ぶ際のポイント等についても解説します。

がん保険には「終身型」と「定期型」がある

がん保険は保険期間の違いによって、「終身型」の終身がん保険と、「定期型」の定期がん保険の2種類に分けられます。どのような違いがあるのか、それぞれ確認していきましょう。

終身がん保険の特徴

終身がん保険の保険期間は一生涯です。満期はなく、解約しない限りは生涯にわたって保障が続きます。

■終身がん保険の仕組み

終身がん保険の仕組み

保険料の払込方法は、自分のライフプランに合わせて払込方法を選ぶのがおすすめです。終身がん保険は、一生涯払込みが続く「終身払」が多く、加入時に決定した保険料が払込期間中に上がることは原則ありません。老後も保険料の払込みが続くことが心配な場合は、一定の年齢で早い段階に払込みが終わる「有期払」を選べる商品を検討してもよいでしょう。1回あたりの保険料は、終身払より割高になりますが、払込総額で見ると、有期払のほうが負担は少なくなる場合もあります。

■終身がん保険の終身払のイメージ

終身がん保険の終身払のイメージ

■終身がん保険の有期払(60歳払込満了)のイメージ

終身がん保険の有期払(60歳払込満了)のイメージ

定期がん保険の特徴

定期がん保険は10年、15年等、保険期間があらかじめ決まっています。必要な期間だけ、保障を手厚くしたいという場合に検討するのがよいでしょう。保険期間が満了すると保障も終了するため、継続して保障を受けたい場合は更新手続きが必要となります。

■定期がん保険の仕組み

終身がん保険の有期払(60歳払込満了)のイメージ

更新の場合は、同じ保障内容であっても、その時の年齢で保険料の見直しが行われます。更新のたびに負担が増える可能性があるので、注意が必要です。

■定期がん保険の更新(10年)のイメージ

終身がん保険の有期払(60歳払込満了)のイメージ

終身がん保険のメリット・デメリット

終身がん保険と定期がん保険には、それぞれメリットとデメリットがあるため、保険の特性を理解した上で選ぶことが大切です。まずは、終身がん保険のメリットとデメリットを見ていきましょう。

終身がん保険のメリット

終身がん保険のメリットは、払込期間中の保険料が加入時から変わらないことです。保険料が契約時のまま一定なので、払込みの計画も立てやすくなります。

また、がんの罹患リスクは、以下の表のように年齢が上がるほど高まります。生涯にわたって保障が続く終身がん保険なら、年齢が上がっても万が一の場合は金銭的な負担を軽減できるでしょう。

■がん罹患率の年齢による変化(全がん)

がん罹患率の年齢による変化(全がん)

※出典:「「がん統計」(全国がん登録)」(国立がん研究センターがん情報サービス)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html)を基に作成

終身がん保険のデメリット

終身がん保険のデメリットは、同じ年齢で加入した場合の定期がん保険に比べて、保険料が割高になることです。子どもの教育費や住宅ローン等で支出が多い世代には、月々の保険料の負担が大きいと感じるかもしれません。

また、終身がん保険は保険期間が一生涯なので、途中で見直しがしにくいこともデメリットです。最近のがん保険は終身型でも解約返戻金のない、いわゆる掛け捨てタイプが多くなっています。解約して新しい保険に乗り換えようと考えても、払込んだ保険料が戻ってこなかったり、年齢によっては保険料が割高になったりする可能性があります。

定期がん保険のメリット・デメリット

終身がん保険だけではなく、定期がん保険のメリット・デメリットも知っておきましょう。それぞれについて解説します。

定期がん保険のメリット

定期がん保険のメリットは、同じ保障内容の終身がん保険に比べて保険料が割安に設定されていることです。収入がそれほど多くなかったり、子育てにお金がかかったりする時期に加入しても、手頃な保険料で保障を受けることができます。

また、定期がん保険は、保険期間が満了になるタイミングで、保険の見直しがしやすいこともメリットです。ライフステージやがん治療の変化に合わせて、自分に必要な保障内容の保険に加入し直すことができます。

定期がん保険のデメリット

定期がん保険のデメリットは、更新時に保険料の負担が上がってしまうことです。がん保険は、加入時の年齢が上がるほど保険料も上がります。そのため、更新を繰り返すと、契約開始が同時期の終身がん保険より月々の保険料が割高になってしまう場合があります。また、保険商品によっては、定期がん保険を更新できる年齢に上限を設けている場合もあることに注意が必要です。

がん保険は終身型と定期型のどちらを選んだらいい?

終身がん保険と定期がん保険のどちらを選べばいいのか迷う人もいるかもしれません。しかし、がん保険は、終身型と定期型のどちらかを選択するだけではなく、両方を組み合わせる方法もあります。それぞれに適している人の特徴を見ていきましょう。

終身がん保険に適している人

一生涯にわたってがんに備えたいという人は、終身がん保険がおすすめです。毎月の保険料は定期がん保険よりも割高になりますが、保障がずっと続くため、老後も安心でしょう。また、保険料は変わらず一定のため、払込む保険料が上がらないほうがいいと考える人も、終身がん保険が向いています。

定期がん保険に適している人

手頃な保険料で一定期間のみ手厚く保障を得たい人は、定期がん保険が適しています。また、保険期間満了時に見直しがしやすいことから、進化するがんの治療法やライフステージの変化に合わせて、定期的にがん保険を見直したい人にとっても、定期がん保険が向いているといえるでしょう。

終身がん保険と定期がん保険との組み合わせが適している人

一生涯の備えに加えて、さらに一定期間のがん保障を手厚くしたい人は、終身がん保険と定期がん保険を組み合わせる方法もあります。例えば、一生涯の保障に加えて、教育資金等の子育ての費用がかかる期間のみ大きな保障を準備しておきたいという場合は、終身がん保険をベースに定期がん保険を追加するとよいでしょう。追加で必要となる保障を終身がん保険ではなく定期がん保険で準備することで、保険料を抑えることができます。

がん保険を選ぶ際のポイント

がん保険を選ぶ際は、がんと診断を受けても給付金が受取れない期間や、給付金の支払条件、保障の範囲外となるがんの種類等、確認しておきたい点がいくつかあります。

終身がん保険と定期がん保険のいずれの場合でも、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

免責期間を考慮する

多くのがん保険には、90日間または3か月間の免責期間があります。免責期間とは、がん保険に加入後、保障を受けられない期間のことです。免責期間中にがんと診断されても、給付金は受取れません。そのため、保障がスタートする「責任開始日」を確認しておくことが重要です。

■免責期間が90日間の例

がん罹患率の年齢による変化(全がん)

現在加入中のがん保険を解約し、新たながん保険に加入する場合は、特に注意が必要です。新しくがん保険に申込んで、すぐに加入中の保険を解約してしまうと、保障が受けられない空白期間が生じてしまいます。がん保険を見直す際には、新しく加入するがん保険の免責期間が経過した後に、加入中のがん保険を解約するようにしましょう。

がん保険の免責期間については、以下の記事をご覧ください。
がん保険の免責期間とは?加入前に知っておきたい注意点について解説

保障の範囲を確認する

がん保険を選ぶ際には、保障の範囲についても確認が必要です。がんの種類は、「上皮内新生物」と「悪性新生物」に大別されます。このうち、上皮内新生物は、適切な治療を行えば転移や再発のリスクがほとんどないとされ、保障の対象外になっていたり、保障内容に制限が設けられていたりする保険商品も少なくありません。

ただし、上皮内新生物であっても、手術や入院の可能性は十分考えられます。がんのさまざまなリスクに備えたいという場合は、上皮内新生物も保障対象になっているがん保険を選びましょう。

診断給付金の回数を確認する

診断給付金を受取る回数は、保険商品によって異なるため、あらかじめ確認が必要です。がん保険の多くは、がんと診断された時に診断給付金を受取ることができます。診断給付金を受取る回数は、保険商品によって、1回限りというものや、一定期間以上経過していれば再度支給されるもの等、さまざまです。がん保険を選ぶ際には、診断給付金の回数や支払条件をしっかり確認しておきましょう。

自分に合ったがん保険を検討しよう

がんは病気による死亡原因で最も多く、年齢を重ねるにしたがって罹患率が上がる病気です。がんへの不安がある場合は、がん保険に加入してリスクに備えておくこともひとつの方法です。ただ、がんになってしまってからでは、がん保険への加入はできないため、健康なうちに検討するとよいでしょう。

がん保険には、終身がん保険と定期がん保険があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。がん保険に加入する目的を明確にした上で、自分に合った保険商品を選ぶことが大切です。

自分だけでは保険選びに迷う場合は、保険の専門家に相談するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、がん保険に関する相談や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。自分に合ったがん保険を検討したい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。

がん保険についてよくある質問

がん保険への加入を検討する際に、よく聞かれる疑問についてまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

がん保険の終身型と定期型の違いは何ですか?
がん保険の終身型と定期型は、保険期間が異なります。
終身がん保険は一生涯を通じてがんの保障が続くのに対し、定期がん保険は一定の期間のみ保障が受けられ、保険期間が満了すると保障は終了します。加入時の保険料に関しては、同じ保障内容の場合、終身がん保険よりも定期がん保険のほうが割安です。また、終身がん保険は保険料が一定ですが、定期がん保険を更新する場合は、更新のたびに保険料が上がるといった違いがあります。
終身がん保険にはどのようなデメリットがありますか?
終身がん保険は、定期がん保険に比べて加入時の保険料が割高で、見直しがしにくいことがデメリットです。
終身がん保険は保険期間が一生涯であることから、一定期間のみの保険期間である定期がん保険に比べて保険料は割高です。また、定期がん保険のように更新のタイミングがないため、見直しがしにくいこともデメリットといえます。
終身がん保険への加入が向いている人はどのような人ですか?
一生涯にわたってがんに備えたい人には、終身がん保険がおすすめです。
終身がん保険は、保障が一生涯続くため、老後も含めてがんへのリスクに備えたい場合に向いています。保険料が一定のため、保険料を上げたくないという人にも向いているでしょう。また、一生涯の備えに加えて、さらに一定期間のがん保障を手厚くしたいという人は、終身がん保険と定期がん保険を組み合わせる方法もあります。
がん保険の免責期間とは何ですか?
免責期間とは、がん保険に加入後、保障を受けられない期間のことです。
がん保険には、90日間または3か月間の免責期間があることが一般的です。免責期間中にがんと診断されても、給付金は受取れません。現在加入中のがん保険を解約し、新たながん保険に加入する場合は、保障の空白期間が生じないように、新たながん保険の免責期間終了後に加入中のがん保険を解約することをおすすめします。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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