医療保険を解約する方法と注意点、見直しのタイミングについて解説

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ライフステージの変化等によって、医療保険の解約を考える人もいるでしょう。医療保険の解約を検討するにあたっては、「医療保険を解約する方法がわからない」「医療保険を解約するタイミングはいつがよいのか」「医療保険を解約すると何かデメリットはあるのだろうか」といった疑問を持つ人もいるかもしれません。

ここでは、医療保険を解約する方法や解約にあたっての注意点、医療保険の解約や見直しに適したタイミングについて解説します。

医療保険はいつでも自由に解約できる

民間の保険会社が提供する医療保険は、公的医療保険とは異なり、いつでも自由に解約することができます。医療保険には、保険期間が定められている定期型医療保険と、保険期間が一生涯続く終身型医療保険があり、いずれも解約にあたって解約金等のペナルティは発生しません。

医療保険の解約には、次の2つのパターンがあります。

<医療保険の解約パターン>

  • 定期型医療保険の保険期間、または終身型医療保険の保険期間中に、解約請求書を提出して解約する
  • 医療保険自体は継続しながら、給付金の減額や特約の解約・減額等、一部分のみを解約する(一部解約)

医療保険を解約すると、保障に対する保険料の負担はなくなりますが、同時に、病気やケガのリスクに対する必要な備えが手薄になる可能性があるため、解約のタイミングは慎重に検討することが大切です。

医療保険を解約する方法

医療保険を解約するには必要な手続きがあります。まずは、保険会社や保険代理店等に連絡するのが一般的な方法です。具体的な解約手続きの流れは、以下のとおりです。

1 保険会社や保険代理店等に連絡する

医療保険を解約する場合は、まず、加入した保険会社や保険代理店等に連絡をします。保険証券等で証券番号を確認の上、契約者本人から保険会社や保険代理店等のコールセンターへ連絡しましょう。

解約するかどうか迷っている場合は、連絡の際に希望を伝えて相談すると、ニーズに合った提案を受けられる可能性もあります。

保険会社によっては、解約手続きに必要な書類をオンラインで請求できることもあります。その場合は、保険会社のWebサイトの指示にしたがってください。

2 解約手続きの書類に必要事項を記入する

医療保険の解約の旨を保険会社や保険代理店等に連絡すると、保険会社から解約手続きの書類が送付されてくるので、必要事項を記入します。保険証券や捺印、解約返戻金の振込先口座が必要な場合があるので、記入漏れのないようにしっかり確認しましょう。

3 保険会社に提出する

必要事項を記入した書類を保険会社に返送し、不備等がなければ医療保険の解約手続きは完了です。後日、保険会社から解約完了の通知が届くので、内容をよく確認しておきましょう。なお、原則として、解約手続きが完了した後の取り消しはできません。

医療保険の解約や見直しをするタイミング

医療保険の解約や見直しには、適したタイミングがあります。一般的には、次のようなタイミングで、医療保険の解約や見直しが検討されることが多いでしょう。

ライフステージが変化した時

医療保険の解約・見直しのタイミングとして多いのが、ライフステージが変化した時です。ライフステージが変化するタイミングとしては、就職や結婚、出産、子どもの独立、転職、定年退職等が挙げられます。家族構成や家計状態に変化があると、医療保険で備えるべき保障も変わります。家計や医療保障のニーズの変化に応じて、その都度、医療保険の保障内容を検討することが大切です。

定期型の医療保険が満期を迎えた時

現在加入している医療保険が定期型である場合、満期を迎えるタイミングで解約や見直しを検討するのもよいでしょう。定期型の医療保険を更新すると、更新時点の年齢で保険料が再計算されるため、一般的には更新前よりも保険料が上がります。保険料の上昇分も考慮した上で、現時点でのニーズを更新後もカバーできるのかを検討する必要があります。

他の医療保険へ加入する時

医療保険の場合、医療技術の進歩や公的医療保険制度の改正等にあわせて、定期的に新しい保険商品が登場します。何年も前に医療保険に加入したまま見直しをしていない場合、現在の治療内容に対応しておらず、必要な保障が受けられない可能性があります。契約中の医療保険を見直した結果、求める保障内容ではないと感じたら、解約して別の医療保険への新規加入を検討したほうがよいでしょう。

医療保険を解約する前に確認すること

医療保険を解約してしまうと、解約を取り消すことはできません。「やっぱり解約しなければよかった」ということにならないよう、解約手続きの前には以下の点を確認しておきましょう。

保障内容や解約返戻金

医療保険の解約を検討する際には、現在加入している保険の保障内容や解約返戻金を確認することが大切です。保障内容を理解しているつもりでも、思い違いや抜け漏れがあることも少なくありません。主契約だけではなく、特約の保障内容も改めて確認しましょう。同時に、解約返戻金がある場合は、受取れる金額やタイミングを保険会社に問い合わせておきます。もしかすると、「実は自分に合った保障が備わっていた」「思っていたより解約返戻金が少なかった」ということがあるかもしれません。

過去の請求漏れ

保障内容とあわせて確認が必要なのが、過去の請求漏れです。医療保険の給付金の支払事由に該当しても、保険会社に請求しなければ給付金を受取ることはできません。入院や手術を受けたにもかかわらず、給付金を請求しないまま解約してしまうと、本来なら受取れたはずの給付金を受取れなくなってしまいます。「給付金の請求をうっかり忘れていた」「通院保障の特約を付帯していたのに、入院給付金しか請求していなかった」というようなことがないか、解約前にしっかりと確認しておきましょう。

保障の空白期間

現在加入中の医療保険を解約して、新しい医療保険に加入する場合は、保障の空白期間をつくらないように気をつけましょう。新しい医療保険の契約成立前に、現在の保険を解約してしまうと、入院や手術をすることになっても保障を受けられません。無保険状態を避けるために、新しい保険の契約が成立するまでは、今までの保険契約を続けることをおすすめします。

また、医療保険を解約する際には、新しく加入する保険の免責期間の有無についても確認が必要です。免責期間とは、保険会社が保障をしない期間のことで、この間に支払事由に該当しても保障を受けることができません。

例えば、がん保険やがんに関する保障が含まれる特約を付帯した場合、加入後90日または3か月間の免責期間があることが一般的です。新しく加入する保険に免責期間がある場合は、新しい保険の契約が成立し、さらに免責期間が終わるまでは、現在加入中の医療保険を継続するのがおすすめといえます。ただし、その間は、加入中と新規の保険、それぞれの保険料を払込む必要があります。

医療保険の必要性については、以下の記事をご覧ください。
医療保険はいらない?医療保険に入る目的や必要な人について解説

医療保険を解約する際の注意点

医療保険を解約する際には、上に挙げた確認事項に加えて、知っておくべき注意点がいくつかあります。主な注意点を見ていきましょう。

特約も含めて保障がなくなる

医療保険を解約すると、特約を含めたすべての保障を受けられなくなります。なお、保険商品によっては、特約だけを解約する一部解約が可能な場合がありますが、主契約を解約して特約だけを残すことはできません。主契約を解約すると、自動的に特約もなくなります。

再加入できない可能性がある

医療保険を解約する際の注意点として、再加入できない可能性があることが挙げられます。「医療保険を解約しても、必要になったら再加入すればいい」と考えている人もいるかもしれません。しかし、医療保険に再加入する場合は、その時点での健康状態等を改めて告知する必要があります。告知内容によっては、保障が制限されたり、希望する保険に加入できなかったりする可能性があります。

再加入する場合は保険料が上がる

医療保険を解約して再加入できたとしても、保険料が上がることに注意が必要です。医療保険は、一般的に、加入時の年齢が上がるほど保険料が高くなります。医療保険を解約してから再加入する場合、以前の保険の契約時よりも年齢を重ねているため、同じような保障内容でも保険料負担は大きくなるケースが大半です。

先払いした保険料が返還されない場合がある

保険料を年払・半年払にしていた場合、解約しても未経過期間の保険料が返還されないことがあります。保険法が施行された2010年4月以降の契約では、原則として未経過分の保険料が返還されますが、それ以前に契約した保険では返還されません。また、保険商品によっては、契約日にかかわらず、年払や半年払にしていても未経過分の保険料が返還されない場合もあります。

なお、月払の場合、基本的には保険料の返還はありません。また、解約のタイミングによっては、当月または翌月まで保険料の払込みが必要になる場合があります。

医療保険を部分的に解約する「一部解約」とは

医療保険によっては、保険そのものの解約以外にも、保障の一部分のみを解約する「一部解約」ができる場合があります。一部解約すると、保険契約は継続しつつ、保険料の負担を抑えることができます。医療保険の一部解約の方法を見ていきましょう。

保障額を減額する

医療保険を一部解約する方法として、保障額の減額があります。保障額の減額とは、現在契約している保障内容を継続しつつ、給付金の金額を減らすことです。例えば、医療保険で保障される入院給付金の日額を1万円から5,000円に減額する等のケースが該当します。

特約を解約する

医療保険の一部解約には、主契約を残して、不要な特約のみを解約する方法もあります。三大疾病特約や先進医療特約等、医療保険には特約が付帯していることが少なくありません。これらのなかから不要になった特約のみを解約できる場合があります。

医療保険の解約を検討する際は、事前に保険の専門家に相談しよう

医療保険の解約に違約金等のペナルティはありませんが、一度解約してしまうと原則として元の状態に戻すことはできません。そのため、解約を検討する際は、慎重に検討する必要があります。特に、解約によって必要な保障が不足しないか、改めて確認しておきましょう。

医療保険の解約にあたって判断に迷うことがあれば、一人で悩まずに、保険の専門家への相談がおすすめです。「ほけんの窓口」では、医療保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。「他の医療保険と比較検討したい」「解約か一部解約かで迷う」といった場合も、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子
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