医療保険に加入の際は健康診断が必要?要再検査への対応等も解説

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民間の医療保険への加入を検討する際に、事前に健康診断が必要なのか疑問に思った人もいるかもしれません。医療保険への加入時には、保険会社に健康状態等の告知が必要となります。その告知にあたり、健康診断を受ける必要はあるのでしょうか。

ここでは、医療保険への加入時における健康診断の必要性や、健康診断が要再検査等になった場合の対応について解説します。

医療保険に加入する際の健康診断は原則として不要

民間の医療保険の加入にあたり、健康診断は原則として不要です。ただし、医療保険に加入する際は、加入者の公平性を維持するため、健康状態や既往歴(過去にかかった病気や受けた手術)等を保険会社に告知しなければなりません。既往歴や持病等がある人と、健康に問題がない人では、将来、保障を受ける可能性が変わってくるからです。

この告知は、保険会社が告知書で設定した質問(告知事項)に、加入者が記入して提出するのが一般的です。告知は自己申告になるため、健康状態等が正しく申告されていれば、基本的に健康診断は不要となるでしょう。

健康状態は正確に告知する必要がある

医療保険に加入する際には、健康診断は原則不要ですが、健康状態等を正確に告知する必要があります。もし虚偽の告知を行った場合は、保険法第66条に定められた「告知義務」の違反となります。告知義務違反があった場合は、保険契約が解除されたり、保険金や給付金が支払われなかったりするおそれがあるため注意が必要です。

告知事項は保険会社によっても異なりますが、告知書の質問には必ず正確に答えるようにしてください。「大きな病気でなければ伝えなくてもいい」と自己判断で申告してしまうと、たとえ故意ではなかったとしても、告知義務違反とみなされる可能性があります。不明点は保険会社へ確認をすることが大切です。

健康状態の診査基準となる告知書の主な内容

保険会社は、加入者から提出された告知書の内容を基に、健康状態等の審査を行います。告知書の質問事項(告知事項)は、保険会社や商品によって異なりますが、主に以下のような内容になります。

<告知書の主な質問事項>

  • 最近3か月以内に、医師の診察、検査、投薬を受けたか
  • 過去5年以内に入院した、または手術を受けたことがあるか
  • 過去2年以内の健康診断・人間ドックにて指摘を受けたことがあるか

過去2年以内の健康診断で指摘を受けた場合

医療保険の加入にあたり健康診断は原則不要ですが、場合によっては健康診断書が必要になることがあります。例えば、「過去2年以内の健康診断・人間ドックにて指摘を受けたことがあるか」という告知事項に該当するようなケースです。この場合、過去2年の間に健康診断や人間ドックを受けていなければ、告知のためにわざわざ健康診断等を受ける必要はありません。

しかし、過去2年以内の健康診断等で「再検査」や「要経過観察」といった指摘を受けていた場合は、その指摘内容や検査数値等を告知書に記入しなければなりません。その際、詳細な数値を確認するために、健康診断の結果(健康診断書)が必要です。また、健康診断の結果によっては、保険会社から健康診断書の提出を求められることがあります。

健康診断の結果と医療保険加入時の対応

健康診断で指摘を受けた場合、医療保険に加入できないわけではありません。ただし、結果によって必要な対応が変わります。一般的に、健康診断の結果は、検査項目ごとに「異常なし」「要注意・要経過観察」「要再検査・要精密検査」「要治療」のような段階に分けられます。「異常なし」以外の結果だった場合、告知では正確な内容を伝えましょう。保険会社の審査の結果次第では、問題なく加入できることもありますし、特定の疾病・部位を保障の対象外とする「特定疾病・特定部位不担保」という条件付きになる場合もあります。また、一般の医療保険への加入自体が難しい場合は、「引受基準緩和型医療保険」「無選択型医療保険」を検討する方法もあります。

健康診断で受けた指摘の段階によって、それぞれ必要な対応は以下のとおりになります。

要注意・要経過観察の場合

「要注意・要経過観察」は、「現時点で治療の必要はないものの、健康状態に注意が必要で、経過観察を続けなければならない」という意味の指摘で、一時的な数値なのかどうか継続して確認していく必要があります。まずは、結果の内容を正確に告知書に記入しましょう。その際、検査結果の数値等についても正しく記入する必要があります。審査の結果次第では、制限なしで一般の医療保険に加入できる場合や、「特定疾病・特定部位不担保」の条件付き契約になることもあります。

要再検査・要精密検査の場合

健康診断の結果「要再検査・要精密検査」の指摘を受けた場合は、異常な数値が出ているという意味のため、医療機関で検査を受けましょう。この指摘にもかかわらず検査を受けていない場合、医療保険に申込みをしても、加入を断られたり、受診を求められたりする可能性が高くなります。また、「要再検査・要精密検査」の項目があっても、その後に検査を受けて異常がないことが確認できれば、問題なく一般の医療保険に加入できることもあります。

もし再検査の結果も悪かった場合は、加入時の審査がゆるやかな引受基準緩和型医療保険、無選択型医療保険への加入という方法もあります。

要治療の場合

健康診断の結果が「要治療」だった場合は、適切な治療を受ける必要があります。そのまま医療保険を申込んでも、希望どおりの保険に加入できない可能性があるため、まずは治療を優先することが大切です。病気の種類や症状にもよりますが、治療を受けた上で、検査の数値が安定していれば、一般の医療保険への加入が可能な場合もあります。また、症状が続く場合は、引受基準緩和型医療保険や無選択型医療保険を検討することになります。

健康診断の結果で指摘があっても入れる可能性のある保険

健康状態等によって一般的な医療保険への加入が難しい場合は、引受基準緩和型医療保険や無選択型医療保険という選択肢もあります。いずれも、健康診断で指摘を受けた人でも加入しやすい保険です。それぞれどのような保険なのかを見ていきましょう。

引受基準緩和型医療保険

引受基準緩和型医療保険は、一般的な医療保険よりも加入時の審査がゆるやかな保険商品で、限定告知型保険とも呼ばれます。保険の加入時には既往症や健康状態等について保険会社に告知する必要がありますが、引受基準緩和型医療保険では、告知事項が一般的な保険より少なく設定されています。設定された項目に答えれば申込みが可能なため、既往症等のある人でも加入しやすくなっている保険です。

ただし、一般的な医療保険よりも保険料は高めに設定されています。また、保険商品によっては、加入後一定期間は給付金が削減されることもあるため注意しましょう。

既往症については、以下の記事をご覧ください。
既往症とは?既往歴や持病との違い、告知の必要性や入れる保険を解説

無選択型医療保険

無選択型医療保険は、健康状態にかかわらず加入できる保険です。無選択型医療保険では、告知書の提出や医師による診断は必要ありません。告知がないため、既往症や持病のある人でも、原則として健康状態を理由に加入を断られることはありません。一般的な医療保険や、特別条件付き契約の保険、引受基準緩和型医療保険に申込みができなかった人でも加入できます。

ただし、無選択型医療保険は一般的な保険に比べて保険料が割高で、保険金や給付金の上限額も低く設定されていることがほとんどです。また、一般的な医療保険に比べて免責事項が多かったり、保険期間が限られたりすることも多く、保険金の支払い条件は厳しい傾向にあります。加入のハードルが低い代わりにデメリットも多いため、契約前に内容を十分確認しておくことが大切です。

持病があっても申込みやすい保険については、以下の記事をご覧ください。
持病があっても入れる保険はある?選び方とメリット・デメリットを解説

医療保険に加入の際は健康状態を正しく告知しよう

医療保険への加入にあたり、健康診断は原則として不要です。ただし、医療保険に加入する際には、現在の健康状態や既往歴等について、正しく告知しなければなりません。医療保険の加入条件や告知事項は、保険会社によって異なります。そのため、医療保険を検討する場合には、複数の保険会社や保険商品を比較することが大切です。

「医療保険の選び方がよくわからない」「希望する医療保険に入れるか不安」という場合は、保険の専門家に相談するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。医療保険への悩みや疑問も、お気軽にご相談ください。

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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