子どもに必要な保険とは?
種類や選び方、加入すべきタイミングを解説

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子どもの誕生をきっかけに、「子どものために保険に加入したほうがいいだろうか」と考える人も多いのではないでしょうか。一般的に、「子どもに必要な保険」と聞くと、教育資金に備える学資保険が思い浮かぶかもしれませんが、それだけではありません。

では、子どもに必要な保険には、学資保険の他にどのような種類があるのでしょうか。また、そもそも子どもに保険は必要なのでしょうか。

ここでは、子どもに必要な保険の種類と選び方、おすすめの加入タイミング等について解説します。

子どもの保険に加入する目的

子どもの保険に加入するかどうかは、家庭によってさまざまな考え方があります。どのような理由で子どもの保険に加入するのか、主な目的について見てみましょう。

将来の教育資金に備えるため

子どもが成長して独立するまでには、多くの教育費がかかります。特に、大学進学時には多額の費用がかかるため、「保険で教育資金に備えたい」と考える人も多いでしょう。

代表的なのは学資保険です。例えば、学資保険に加入し、満期保険金の受取り時期を大学入学のタイミングに設定しておけば、もっとも教育費がかかる時期の経済的な負担を軽減できます。

病気やケガ、事故に備えるため

子どもの病気やケガ、事故に備えるために、保険に加入する人もいます。子どもが病気やケガ等で医療費が必要になっても、公的医療保険が適用されれば自己負担はそれほど大きくありません。ただし、入院や手術が必要になった場合、差額ベッド代や保護者の付き添いにかかる費用等は保険適用外です。また、子どもが他人にケガをさせてしまったり他人の物を壊してしまったりした時に備えて、保険に加入するケースもあります。

子どもに保険を贈るため

保護者が保険に加入し、将来子どもに保険をプレゼントするという目的で加入するケースもあります。例えば、短期払で終身型保険に加入して、子どもが独立するまでに保護者が払込みを完了させ、その後契約者を子どもの名義に変更する、というような方法です。こうすれば、子どもは保険料を負担することなく、一生涯の保障を手に入れることができます。ただし、税金面で注意が必要です。名義を変更した際には税金はかかりませんが、死亡保険金の受取り時や解約時には、相続税や贈与税の対象となります。

子どもの保険は不要といわれる理由

子どものために保険に加入する人がいる一方で、「子どもの保険は必要ない」という声を聞くこともあります。子どもの保険が不要といわれる理由は次のとおりです。

公的な保障制度が充実しているため

日本では公的な保障制度が充実しているため、医療費負担が軽いケースが多く、子どもの保険はいらない、といわれることがあります。国民皆保険制度を導入している日本では、すべての人が公的医療保険に加入しています。そのため、子どもの医療費の自己負担は、就学前なら2割、それ以降は3割です。さらに自治体でも、子どもの医療費を対象とした助成制度を設けているところが多くあります。

子どもの入院リスクは他の年代と比べて少ない

子どもは他の年代に比べて入院リスクが少ないことも、子どもの医療費に備える保険が不要といわれる理由のひとつです。厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、0歳児の入院での受療率はやや高いものの、それ以降になると、大人に比べて子どもが入院する可能性は低いことがわかります。

■年齢階級別に見た受療率(人口10万対 入院の場合)

年齢階級別に見た受療率(人口10万対入院の場合)

出典:「令和2年(2020)患者調査の概況」(厚生労働省)統計表P.26
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/toukei.pdf)を基に作成

また、同調査の年齢階級別の平均在院日数を見ても、0~14歳は、全年代の中で入院日数がもっとも短くなっています。

■年齢階級別に見た平均在院日数

年齢階級別に見た平均在院日数

出典:「令和2年(2020)患者調査の概況」(厚生労働省)統計表P.29
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/toukei.pdf)を基に作成

子どもの保険の種類

不要といわれることもある子どもの保険ですが、その必要性は家庭によって異なります。例えば、「子どもの医療費は公的保障でカバーできそうだけれど、教育資金は保険で備えておきたい」「万が一の入院・手術のリスクを想定したら保険に加入しておいたほうが安心」等と考える人もいるでしょう。

ここでは、子どものための保険の種類についてご紹介します。

学資保険

学資保険は、子どもの将来の教育資金の準備を目的とした貯蓄型の生命保険です。子どもの進学時等、契約時にあらかじめ定めておいた時期に、祝金や満期保険金を受取れます。また、多くの場合、契約者である保護者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、以後の保険料を支払わなくても満期保険金等を受取れる保険料払込免除特約があります。

学資保険については、以下の記事をご覧ください。
学資保険とは?メリット・デメリットや仕組みについて解説

医療保険

医療保険は、病気やケガで入院や通院、手術をした時に給付金を受取れる保険です。先進医療や、入院時の差額ベッド代等、公的医療保険でカバーできない出費に備えることができます。医療保険の中には、一定期間健康だった場合に祝金(生存給付金)を受取れるものもあります。

医療保険については、以下の記事をご覧ください。
医療保険はいらない?医療保険に入る目的や必要な人について解説

傷害保険

傷害保険は、日常生活でのケガによる入院や通院、手術等に備える保険です。一般社団法人日本損害保険協会「日本損害保険協会 | SONPO | そんぽのホント」によると、補償の対象になるのは「急激・偶然・外来の事故(突発的に、たまたま、体の外部からの作用によって生じる事故)」によるケガです。病気の場合は対象外となります。

※出典:一般社団法人日本損害保険協会「日本損害保険協会 | SONPO | そんぽのホント」
https://www.sonpo.or.jp/

個人賠償責任保険

個人賠償責任保険は、日常生活で誤って他人にケガをさせたり他人の物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った際に補償が受けられる保険です。一般的には、火災保険や傷害保険、自動車保険等の特約として加入します。

自転車保険

自転車保険は、自転車事故による運転者のケガや相手への賠償に備えるための保険です。自転車事故によって他人にケガを負わせたり、物を壊したりした時の他、自転車運転中の転倒やもらい事故によるケガ等も補償されます。

自転車保険については、以下の記事をご覧ください。
自転車保険の入り方とは?どこで入る?加入方法や保険の選び方を解説

終身型保険

終身型保険は、保障が一生涯続く保険のことで、子どもにプレゼントする保険として加入するケースがあります。貯蓄型保険の場合、契約期間中に解約すると解約返戻金を受取ることも可能です。子どもにプレゼントする目的で選ばれる保険の種類としては、終身型生命保険や終身型医療保険、終身型がん保険等があります。

子どもの保険の加入タイミング

一般的に、保険商品は、被保険者の年齢が若いほど保険料が安くなる傾向があります。子どもの保険は、保護者や子どもの年齢、目的に合わせて、次のようなタイミングで加入を検討するとよいでしょう。

学資保険

学資保険は、子どもが生まれてすぐ等、できるだけ早いうちに加入することをおすすめします。学資保険は契約期間が長いほど保険料が割安になります。また、学資保険は加入できる子どもの年齢に制限が設けられており、年齢制限は保険商品によって異なりますが、出生前140日から7歳くらいまでが一般的です。

医療保険

医療保険の加入検討のタイミングとしては、入院する確率が高い0歳、または、自治体の医療費助成制度が終了する時期等が挙げられます。いずれにしても、医療保険に加入するなら、子どもがまだ小さく健康なうちに検討するのが望ましいでしょう。

傷害保険

子どもが活発に活動するようになると、ケガのリスクも高まります。幼稚園や保育園の入園時、スポーツを始める時期等、行動範囲が広がるタイミングで傷害保険の加入を検討することをおすすめします。

個人賠償責任保険

個人賠償責任保険に加入する目安は、幼稚園や保育園に入園するタイミングです。日常生活における子どもの行動範囲が広がると、誤って店の商品を壊してしまったり、友達にケガをさせてしまったりすることもあります。傷害保険加入時に個人賠償責任特約を付帯してもよいでしょう。

自転車保険

自転車保険は、子どもが自転車に乗れるようになったタイミングで加入しましょう。近年では多くの自治体で、自転車保険の加入が義務化、または努力義務化されています。義務化されていない地域に住んでいたとしても、子どもが自転車に乗るようになったら自転車保険に加入しておくと安心です。

終身型保険

子どもに終身型保険をプレゼントしたいと考えるなら、できるだけ子どもが小さいうちに加入したほうが支払う保険料の負担を抑えられます。例えば、子どもが生まれてすぐに加入し、保険料を20年払にすれば、子どもが20歳になった頃に保険料の負担のない保険をプレゼントすることができます。

子どもの保険を選ぶ際のポイント

子どもの保険の種類、加入タイミングがわかったところで、実際に保険を選ぶ際に注意しておきたいポイントをご紹介します。子どもの保険を選ぶ時には、次のようなポイントをチェックしておきましょう。

保障内容・保険金額

保険を選ぶ時には「いつ、何のために、どれくらいの保険金を受取りたいか」をしっかり検討しましょう。一般的に、保障内容や保険金額が充実すればするほど毎月支払う保険料は高くなるため、すべての内容・金額を保険でカバーする必要があるのかどうか、しっかり考えることも大切です。例えば、医療保険の場合、自治体の医療費助成制度を利用すれば、子どもが小さいうちはそれほど大きな保障は必要ないかもしれません。

ただし、子どもの医療費助成が受けられる年齢は自治体によって異なり、保護者の所得制限が設けられている場合もあります。自分が住んでいる地域ではどのような公的保障が受けられるのか、事前に確認しておくことが大切です。

保険期間

どの種類の保険に加入する場合でも、目的に合った保険期間を設定することが大切です。例えば、学資保険では、保険商品によって祝金を受取れる時期や回数等が異なり、選択できることが一般的です。必要な時期に必要な祝金が受取れるかどうか確認しましょう。また、医療保険の場合は、保障が一生涯続く「終身型」以外にも、契約時に定めた一定期間だけを保障する「定期型」もあります。定期型保険では、手厚い保障が必要な時期を重点的にカバーすることが可能です。

保険料

保障内容が充実すると保険金額が高くなり、それに伴い保険料も高くなります。せっかく子どものために保険に加入しても、保険料の支払いが普段の家計を圧迫してしまっては本末転倒です。保障内容と保険料のバランスを考慮しながら、無理のない範囲で保険料を設定することをおすすめします。また、終身型保険を子どもにプレゼントする場合、子どもが保険料を支払う可能性があることも意識しておきましょう。

子どもの保険は目的を明確にして加入を検討しよう

子どもの保険が必要かどうかは、家庭によって異なります。保障内容も保険会社や保険商品によって違うので、加入する目的を明確にした上で、よく検討しましょう。子どもの保険について迷った時には、保険の専門家に相談するのがおすすめです。「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する相談や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。「子どものために保険で備えたい」「保険の選び方がわからない」というような場合も、ぜひご相談ください。

(2024年10月承認)B24-201168

監修者プロフィール

黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。

黒川 一美
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