生命保険の満期保険金とは?受取れる保険や税金について解説

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生命保険には、保障のみに特化したものと、保障性と貯蓄性の両方を備えたものがあります。貯蓄性があって保険期間が設定された保険の場合、期間満了時に「満期保険金」を受取れますが、一方で保障に特化した保険や終身保険には、満期保険金はありません。

ここでは、満期保険金が受取れる生命保険の種類、受取る際にかかる税金について解説します。

満期保険金とは保険期間満了時に受取る保険金のこと

生命保険の満期保険金とは、被保険者が生存して、満期を迎えた時に受取れる保険金です。「満期」とは、生命保険の契約時に定められた、保険期間が満了する時を指します。例えば、「10年定期」であれば、満期は契約から10年が経過した時、契約が「60歳満了」なら、満期は被保険者が60歳になってから最初に迎える契約応当日(契約日と同じ月日)の前日になります。なお、解約しない限り一生涯保障が続く終身保険には、満期はありません。満期保険金の金額は保険商品によってさまざまですが、払込んだ保険料以上の金額を受取れる場合もあります。

満期保険金と解約返戻金の違い

解約返戻金と満期保険金の違いは、受取るタイミングです。満期保険金を受取るタイミングは満期になった時で、解約返戻金を受取るのは満期を迎える前に保険を解約した時です。解約返戻金の額は、解約時までに払込んだ保険料と期間に応じて決まります。ただし、運用経費等が引かれるため、満期前に解約した場合に受取れる解約返戻金の額は、払込んだ保険料の総額より少なくなることがほとんどです。また、解約返戻金がない保険もあります。

満期保険金が受取れる生命保険とは?

生命保険のうち満期保険金が受取れるのは、貯蓄性のある保険に限られます。保障のみの掛け捨て型保険には、満期保険金はありません。また貯蓄性のある保険でも、満期のない終身保険には満期保険金はありません。ここからは、満期保険金が受取れる3つの生命保険について紹介します。

養老保険

満期保険金が受取れる生命保険のひとつに、養老保険があります。養老保険は死亡保障と貯蓄性の両方を備えた保険で、「10年間」や「60歳まで」等の期間を定めて加入する保険です。期間中に被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合は死亡保険金または高度障害保険金が受取れ、生存して満期を迎えた場合は死亡保険金と同額の満期保険金が受取れます。また、保険期間中に解約した場合は、解約返戻金が受取れます。

学資保険

学資保険も満期を迎えたら満期保険金が受取れます。学資保険は子どもの教育資金の準備を目的とした貯蓄型保険で、加入時に、満期保険金を受取る時期と保険料の払込期間を設定します。例えば、受取る時期が「子どもが18歳を迎える時」で、払込期間を「子どもが15歳を迎えるまで」とすれば、子どもが15歳を迎えるまで毎月保険料を払込み、18歳を迎える時に満期保険金を受取ることが可能です。

また、小学校、中学校、高校、大学に入学する節目でそれぞれ祝金が受取れる保険商品もあります。学資保険は、保険料払込期間中に契約者(保護者)に万が一のことがあった場合、その後の保険料の払込みは免除されるのが一般的です。そうなった場合にも保障は続き、祝金や満期保険金を受取れます。

個人年金保険

満期保険金が受取れる生命保険には、個人年金保険も挙げられます。個人年金保険は、公的年金に上乗せして老後の資金を準備するための貯蓄型保険です。60歳や65歳等、契約時に決めた一定の年齢まで保険料を払込み、払込みが終了すると、満期保険金を年金または一時金の形で受取ります。

なお、年金の受取方法によって、3つのタイプに分けることができます。被保険者の生死にかかわらず、契約時に定めた一定の期間は年金を受取れる「確定年金タイプ」、被保険者が生きている場合だけ、一定の期間は年金を受取れる「有期年金タイプ」、一生涯にわたって年金を受取れる「終身年金タイプ」の3種類です。確定年金タイプであれば、受取期間中に被保険者が死亡したとしても、あらかじめ指定された受取人が代わりに年金を受取ることができます。

満期保険金を受取る際にかかる税金とは?

満期保険金は課税対象となるので、受取りの際には、税金を納めることが必要です。満期保険金に課せられる税金の種類は、契約者(保険料を払込む人)と受取人が同一人物かどうかによって変わってきます。それぞれの場合について解説します。

契約者と受取人が同じ場合

契約者と受取人が同一人物の場合、満期保険金から払込保険料総額を差し引いた金額が、所得税・住民税の課税対象となります。なお、一時金として受取った場合は「一時所得」、年金形式で受取った場合は「雑所得」として扱われます。

・一時金として受取った場合の課税対象額

1年間(1月1日~12月31日)でその他の一時所得がない場合、課税対象となる額は下記の式で計算します。一時所得には50万円の特別控除枠があるので、受取った満期保険金等の額が、「払込保険料総額+50万円」以下の場合は課税対象になりません。

<課税対象額の計算式>

課税対象となる額=(満期保険金等-払込保険料総額-一時所得の特別控除50万円)×1/2

例えば、満期保険金等が300万円で、払込保険料総額が250万円の場合、課税対象にはなりません。一方、払込保険料総額が同じで、満期保険金等が350万円なら、25万円が一時所得として課税対象になります。なお、実際に納める税額は、他の所得等との合算で求めます。

・年金として受取った場合の課税対象額

1年間に受取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料を差し引いた額が「公的年金等以外の雑所得」として課税対象になります。また、原則として所得税が源泉徴収されます。

契約者と受取人が異なる場合

契約者と満期保険金の受取人が異なる場合、満期保険金には贈与税がかかります。贈与税には110万円の基礎控除額がありますので、満期保険金が110万円以下なら贈与税はかからず、申告を行う必要もありません。ただし、同じ年(1月1日~12月31日)に、他にも贈与を受けている場合は、合算することになるので、注意してください。

なお、贈与税の税率は、贈与する人と贈与を受ける人の関係性によって、一般贈与と特例贈与の2つに区分されます。特例贈与とは、18歳以上の人が、父母や祖父母等の直系尊属から受けた贈与をいい、特例税率が適用されます。一般贈与とは、特例贈与以外の贈与のことで、適用される税率は一般税率です。

例えば、夫が契約者で妻が受取人の満期保険金は一般贈与となり、贈与税の計算には一般税率が使用されます。このように一般税率が適用される条件で、妻が受取った満期保険金が「100万円」「500万円」「500万円の他100万円の贈与」の場合の課税対象となる金額と税額は、下記のとおりです。

■契約者と受取人が異なる場合の課税対象額と税額(一般贈与の場合)

受取った満期保険金額等課税対象となる金額税額
100万円100万円-110万円は0円以下なので0円0円
500万円500万円-110万円=390万円税率20%−控除額25万円
53万円
500万円の他100万円の贈与(500万円+100万円)-110万円=490万円税率30%−控除額65万円
82万円

生命保険加入時は満期保険金についても確認しよう

生命保険は保険の種類によって、満期保険金を受取れる保険と、満期保険金のない保険があります。保険商品の名称からはわかりにくいものもあるので、生命保険に加入する際には、満期保険金についてもチェックし、自分に合った保険なのかを確認しましょう。契約者と受取人の関係や受取方法によって、課税対象となる金額や税額も変わってくるので、満期保険金にかかる税額についても、加入前に確認しておくことが大切です。

「ほけんの窓口」では、生命保険の満期保険金に関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。生命保険の満期保険金について疑問点がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子さん
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