三大疾病とは?保険は入るべき?罹患のリスクや加入の注意点を解説

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近年、「三大疾病」という言葉がよく聞かれるようになりました。三大疾病とは、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の3つの病気の総称です。三大疾病は日本人の死因のなかでも上位を占める病気で、罹患した場合は治療が長期化する可能性もあります。

ここでは、三大疾病のリスクや、三大疾病に保険で備える方法等に加えて、三大疾病保険を選ぶ際の注意点についても解説します。

三大疾病とは「がん」「心疾患」「脳血管疾患」のこと

三大疾病とは、日本人の死因の上位を占める、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」のことです。

厚生労働省の「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、日本人の主な死因はがん、心疾患(高血圧性を除く)、老衰、脳血管疾患等となっています。下図のように、日本人の死因の半数近くが三大疾病によるものであることがわかります。

■日本人の主な死因の構成割合(2023年)

日本人の主な死因の構成割合(2023年)

※出典:「令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況」(厚生労働省)P.10
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/kekka.pdf)を基に作成

三大疾病の病気の種類

三大疾病とは具体的にどのような病気なのでしょうか。主な病気の種類は以下の図のとおりです。

■三大疾病の病気の種類

三大疾病の病気の種類

がん

がんは悪性腫瘍とも呼ばれ、体の中で異常な細胞(がん細胞)が増殖することによって発生する病気です。がん細胞は増殖するにつれて腫瘍になり、周囲の正常な組織に侵入してダメージを与えます。

がんは日本人の死因のうち最多となっており、全体の4分の1近くを占めています。また、現在、「日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんになる」といわれるほど、がんは身近な病気です。ただし、早期に発見して適切な治療を受ければ、その後は転移や再発をすることなく生活を送れる可能性が高いといわれています。

がんの種類には、悪性新生物と上皮内新生物(上皮内がん)があります。悪性新生物は、がん細胞が細胞や粘膜の奥深くまで進み、周囲の組織や臓器に広がる浸潤や転移の可能性が高い状態のことです。手術治療、放射線治療等を行いますが、治療後も、再発や転移がないか検査を続けていく必要があります。

一方で、上皮内新生物は腫瘍が臓器等の上皮(粘膜層)部分にとどまっている状態のことで、転移の心配は少ないですが、放置しておくと悪性新生物に進行するおそれがあるため、早期の治療が必要です。

心疾患

心疾患とは、心臓に発生する病気の総称で、日本人の死因としては、がんに次いで2番目に多い病気です。代表的なものに、急激に冠動脈が詰まり激しい胸の痛みや呼吸困難を伴う「急性心筋梗塞」や冠動脈が狭くなり胸に痛みや圧迫感が生じる「狭心症」、心臓から全身に血液を十分に送り出せなくなる「心不全」、心臓の筋肉の異常によって心臓の機能異常をきたす「心筋症」等があります。

急性心筋梗塞や狭心症の原因として、動脈硬化や血栓で心臓の血管が狭くなり、心臓に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなることが挙げられます。栄養バランスのとれた食事を心掛け、禁煙、適度な運動を習慣にする等、生活習慣を改善することが大切です。

脳血管疾患

脳血管疾患とは、脳の血管のトラブルによって発症する病気の総称です。代表的なものに、脳の血管が破れて発症する「脳出血」や「くも膜下出血」、脳の血管が詰まって血流が悪くなることで引き起こされる「脳梗塞」があります。これらはまとめて「脳卒中」とも呼ばれます。

その他にも、急激な高血圧により引き起こされる「高血圧性脳症」や、太い脳血管の終末部が細くなり血液不足が起こる「もやもや病」も脳血管疾患です。

脳血管疾患は、一命をとりとめたとしても、深刻な後遺症がのこってしまうこともあります。どのような後遺症が現れるかは、脳の損傷を受けた場所と損傷の程度によって異なりますが、手足のまひや言語障害、視覚障害、感覚障害等がのこる可能性があります。

三大疾病にかかった時のリスク

三大疾病の怖いところは、死因に占める割合の高さだけではありません。三大疾病にかかってしまった場合、次のようなリスクが考えられます。

治療期間が長くなる

三大疾病に罹患すると、治療期間が長期化しがちです。厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、三大疾病による入院時の平均在院日数は、脳血管疾患が77.4日、心疾患(高血圧性を除く)が24.6日、がんが19.6日となっています。脳血管疾患の入院日数が長いのは、脳の障害で身体機能が低下することによる、リハビリ治療期間が含まれるからです。

■三大疾病による入院時の平均在院日数

三大疾病による入院時の平均在院日数

三大疾病は、退院後も継続した通院や検査が必要になるケースが少なくありません。他の疾患に比べて、治療期間はかなり長くなると考えてよいでしょう。

※出典:「令和2年(2020)患者調査の概況」(厚生労働省)P.13
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/kanjya.pdf)を基に作成

医療費が高くなる

治療期間が長期化するということは、その分、医療費が増えるということでもあります。治療にかかる費用は、入院費だけではありません。例えば、がんは三大疾病の中ではもっとも平均入院日数が短いものの、退院後の抗がん剤治療等、長期間にわたって通院が続く可能性があり、医療費の増大につながります。

厚生労働省の「医療給付実態調査(令和3年度)」によれば、三大疾病に罹患した場合の入院・入院外にかかる診療費は、以下の表のとおりです。

■三大疾病1件あたりの診療費(入院・入院外)

疾病分類入院入院外
がん(悪性新生物)77万4,890円6万7,397円
虚血性心疾患82万3,103円1万6,150円
脳血管疾患82万9,028円1万6,053円

※協会(一般)、組合健保、共済組合、国民健康保険計、後期高齢者医療の合計から平均金額を算出
※出典:厚生労働省「医療給付実態調査(令和3年度)」(厚生労働省)P.27
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450389&tstat=000001044924&cycle=0&tclass1=000001044945&tclass2=000001209743&tclass3val=0)を基に作成

入院・通院いずれの場合においても、上記の診療費は公的医療保険適用前の金額なので、全額が自己負担となるわけではありません。実際に負担する金額は、年齢や所得に応じて、かかった医療費の1~3割となります。また、公的医療保険には一定額以上の医療費が払戻される高額療養費制度もあります。

ただし、先進医療や入院時の差額ベッド代等は高額療養費制度の適用外です。高額療養費制度を利用したとしても、自己負担額がゼロになるわけではないので、治療期間が長引いた場合の経済的リスクは避けられません。

高額療養費制度については、以下の記事をご覧ください。
高額療養費制度とは?申請方法についてわかりやすく解説

仕事ができなくなり収入に影響する

三大疾病に罹患したために入院や通院が長期化すると、状況によっては仕事を休むことになり、収入が減少してしまいます。また、病気の後遺症や薬の副作用等によって、以前と同じような生活が送れなくなる場合もあるでしょう。元の職場に復帰するのが難しくなることもあるかもしれません。入院や通院で支出がかさむ上、収入が途絶えたり減少したりしては、家計に大きなダメージを与えることになります。

三大疾病に備えられる三大疾病保険

このような三大疾病のリスクに備えるための保険が、「三大疾病保険」です。三大疾病保険について詳しく見ていきましょう。

保障内容

三大疾病保険とは、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」によって所定の状態になった時に、一時金(三大疾病保険金)を受取ることができる保険です。三大疾病といっても、保険商品によって保障内容が異なり、がんは「悪性新生物」、心疾患は「急性心筋梗塞」、脳血管疾患は「脳卒中」を保障対象とする保険商品も少なくありません。

また、保険商品によっては、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、死亡保険金または高度障害保険金が受取れるものもあります。このタイプの保険商品は、保険金が支払われるのは1回限りで、いずれかの保険金(三大疾病保険金または死亡保険金・高度障害保険金)が支払われると、保障が消滅します。

保険金を受取れる条件

三大疾病保険金が受取れる「所定の状態」は保険会社によって異なります。例えば、死亡保障付きの三大疾病保険の場合、以下のような条件になっていることが一般的です。

・がん

初めてがんにかかったと医師に診断確定された時(上皮内新生物・皮膚がんは除く)。

・心疾患

急性心筋梗塞になり、初診日から60日以上、労働が制限される状態が続いたと医師に診断された時。または急性心筋梗塞の治療のために手術を受けた時。

・脳血管疾患

脳卒中(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞)になり、初診日から60日以上、言語障害・運動失調・まひ等の後遺症が継続したと医師に診断された時。または脳卒中の治療のために手術を受けた時。

その他、死亡保障が付かないタイプの三大疾病保険は、死亡保障付きの内容と比較して所定の条件が広くなっていること等が特徴です。

保険期間

三大疾病保険の保険期間は、保障が一生涯続く「終身型」と、一定期間のみ保障される「定期型」があります。終身型は、死亡保障が付いている保険商品であれば途中解約での解約返戻金が受取れる場合がほとんどですが、死亡保障が付いていない保険商品には解約返戻金がありません。また、定期型は基本的に掛け捨てのタイプとなっています。

三大疾病保険の一時金については、以下の記事をご覧ください。
三大疾病保険の一時金はいくら必要?費用の相場や入院日数を解説

三大疾病保険とがん保険の違い

三大疾病保険が三大疾病に特化した保険であるのに対し、がん保険は三大疾病のうちの、がんのみに備える保険です。保険商品によって保障内容は異なりますが、がんと診断された時やがんで入院した時、治療のための手術を受けた時等に、その内容に応じて給付金を受取ることができます。

がん保険は、がんの治療に対する保障に限定されている分、三大疾病保険に比べて保険料を抑えられるという特徴があります。

三大疾病保険とがん保険のメリット・デメリットを、以下の表にまとめました。

■三大疾病保険とがん保険のメリット・デメリット

メリットデメリット
三大疾病保険

三大疾病すべてに備えられる

保障対象が広いので、保険料はがん保険と比べて高め

がん保険

がんに特化しているため、保険料が抑えられる

心疾患、脳血管疾患には対応できない

がん保険については、以下の記事をご覧ください。
がん保険とは?医療保険との違いや選び方、加入時の注意点を解説

三大疾病保険を選ぶ際の注意点

三大疾病保険への加入を検討する際には、必ず保険金の支払条件を確認しましょう。一般的な例を上で紹介しましたが、実際には保険会社によって支払条件は異なります。また、「がんの場合は上皮内新生物(上皮内がん)を含むかどうか」「心疾患は急性心筋梗塞のみか、すべての心疾患が対象になるか」「脳血管疾患は脳卒中のみか、すべての脳血管疾患が対象か」等、病気の種類ごとの支払条件も確認が必要です。

なお、がんの保障は一般的に、契約してから90日間の免責期間が設けられています。この期間にがんと診断されても、保障の対象外となるため注意しましょう。

その他、保険金(給付金)を受取れる回数についても確認が必要です。三大疾病保険の保険金の支払回数は、1回のみ、複数回、条件を満たせば無制限等、保険会社や保険商品によってさまざまです。特に、がんは再発や転移のリスクが、脳血管疾患は後遺症によるリハビリで療養期間が長期化するリスクがあります。支払回数が増えるほど保険料は高めに設定されていることが多いため、保険料と保障のバランスを考慮しながら検討するようにしましょう。

三大疾病に備えるために自分に合った保険を探そう

三大疾病とは、日本人の死因の上位を占める、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」のことを指します。三大疾病にかかると、治療期間の長期化や、それに伴う医療費の負担増、収入の減少等、さまざまなリスクがあります。三大疾病は高齢になるほど罹患リスクが高まるため、健康な時にこそ三大疾病への備えを検討することが大切です。

三大疾患に罹患した場合の経済的負担をカバーできるのが、三大疾病保険です。ただし、三大疾病保険は、保険会社や保険商品によって保障内容や支払条件、保険料等が異なるため、加入の際には十分に比較検討することが重要といえるでしょう。

「ほけんの窓口」では、保険のプランに関する相談や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。三大疾病保険への加入を検討したい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」にご相談ください。

三大疾病についてよくある質問

三大疾病について、よく聞かれる疑問をまとめました。それぞれの質問について解説していますので、参考にしてください。

三大疾病とは何ですか?
三大疾病とは、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の3つの病気の総称のことです。日本人の死因の半数近くが三大疾病によるものです。三大疾病は日本人にとって身近な病気といえます。三大疾病は、通常の医療保険でも保障されますが、三大疾病保険に加入することで、より手厚い保障が準備できます。
三大疾病にかかったらどのようなリスクがありますか?
三大疾病にかかると、治療期間が長期化し、その分、医療費が増えるリスクがあります。また、入院や通院が長期化すると、仕事ができず、収入が減少してしまうケースも少なくありません。病気の後遺症や薬の副作用等によって、以前と同じような生活が送れなくなる場合もあります。
三大疾病保険とはどのような保険ですか?
三大疾病保険とは、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」によって所定の状態になった時に、一時金(三大疾病保険金)を受取ることができる保険です。一般的に、がんは「悪性新生物」、心疾患は「急性心筋梗塞」、脳血管疾患は「脳卒中」を保障対象としています。また、保険商品によっては、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合、死亡保険金または高度障害保険金が受取れるものもあります。
三大疾病保険とがん保険の違いは何ですか?
三大疾病保険が「がん」「心疾患」「脳血管疾患」による医療費をカバーする保険であるのに対し、がん保険は、がんの保障に特化した保険です。がん保険は、がんと診断された時やがんで入院した時、治療のための手術を受けた時等に、その内容に応じて給付金を受取ることができます。がん保険は、がんの治療に対する保障に限定されている分、三大疾病保険に比べて保険料を抑えられるという特徴があります。

監修者プロフィール

原 絢子
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

自分で保険の見直しを行ったのをきっかけに、お金の知識を身につけることの大切さを実感し、ファイナンシャルプランナーとして活動を始める。モットーは「自分のお金を他人任せにしない」。一人でも多くの人がお金を味方につけて、自分の思い描く人生を歩んでほしいと、マネーリテラシーの重要性を精力的に発信している。FPサテライト株式会社所属FP。

原 絢子さん
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