火災保険の見直しは必要?変更・乗り換えのポイントとタイミング
火災保険は、住宅購入時等に加入した後、見直すことなくそのままにしてしまいがちです。しかし、住まいや家族の状況に変化があると、補償内容が現状にそぐわなくなっている場合もあるため、適切なタイミングで見直すことをおすすめします。
ここでは、火災保険の見直しが必要な理由と見直しのタイミング、見直しの際に注意したいポイントを解説します。
火災保険の見直しが必要な理由とは?
火災保険の見直しが必要な理由は、万が一の際に十分な補償が受けられなくなってしまう可能性があるからです。火災保険は、火災や落雷、水災等により、建物や家財に生じた損害を補償する保険で、同じものを再購入する場合にかかる金額をもとに保険金額を決めることが一般的です。建物であれば、同じものを建て直すのにかかる金額、家財であれば、新品で同等のものを手に入れるのに必要な金額になります。
しかし、建物や家財を再購入するのにかかる金額は、常に一定ではありません。住宅を増築する、家族が増えたことで家財が増える、建築費用が高騰する等、住まいや家族の状況に何らかの変化があった場合、再調達に必要な金額も変動します。
また、周辺状況の変化等で、契約を結んだ当時には想定していなかったリスクが発生していることもあります。
リスクの増加や必要な補償額が変わると、契約した当時の補償内容では万が一の際に十分な補償が受けられなくなってしまう可能性があります。そのため、変化した状況に合わせて補償内容や保険金額を見直す必要があるのです。
火災保険の見直しのタイミング
契約時と状況が異なった場合等、火災保険を見直すタイミングはいくつかあります。火災保険を見直すタイミングについて解説します。
火災保険の更新
保険会社や保険代理店から更新通知が届いたら、火災保険を見直す良い機会です。火災保険の満期が近づくと更新通知が届きます。更新通知には、加入している火災保険の内容等が記載されているので、現在の状況に合っているかどうかチェックしましょう。
契約当時にはなかったプランや割引制度が登場していたり、同じような補償内容でも保険料が違う商品があったりするので、比較検討してみるのがおすすめです。
建物や家族の変化
建物や家族に変化があった時は、補償内容を見直すタイミングです。建物の住み替えや増改築、リフォーム、家族構成の変化による家財の増減等があった場合、建物や家財の価値が変わることがあります。建物や家財の価値が上がれば、当初の契約の保険金額では足りなくなりますし、逆に価値が下がれば、過剰な保険を契約していることになります。適切な補償額になるよう、契約内容を見直すようにしましょう。
外部要因による変化
補償内容を見直すタイミングとして、外部要因による変化も挙げられます。例えば、物価変動による建築費の変動や、自然災害の被害予測を地図にまとめたハザードマップの更新です。物価の上昇によって建築費や材料費が高騰した場合、家財や建物の価格も上がり、補償額が不足するおそれがあります。また、自然災害のリスクが変化してハザードマップが更新された場合、補償対象の追加等を検討する必要もあります。いざという時に、必要な補償が受けられるかを検討し、足りないようなら保険金額や補償範囲を見直しましょう。
火災保険を見直す際のポイント
火災保険を見直す際に大切なのは、自分に合った補償内容になっているかどうかを確認することです。また、保険料を抑えられるかも検討してみましょう。ここでは、火災保険を見直す際のポイントについて解説します。
補償範囲の確認
火災保険を見直す際には、補償内容の範囲が十分かどうかを確認することがポイントです。火災保険では火災の補償だけではなく、落雷や水災等の自然災害も補償されるものが多くあります。補償内容を細かく設定できる場合もありますので、住まいに合った補償範囲になっているかを確認しましょう。適正な補償範囲にすることで、十分な補償を確保しつつ、保険料も必要な額に抑えられます。もし、契約中の火災保険が希望どおりの補償を備えていない場合は、他の商品を検討することも必要かもしれません。
長期契約を検討
火災保険を見直す際には、長期契約にすることを検討してみてもいいでしょう。火災保険の契約期間は最長で5年間となっており、長期で契約したほうが、1年契約を毎年更新するよりも保険料を抑えられる場合があります。なお、途中で解約した場合には解約返戻金を受取れるケースがあります。ただし、契約期間の残日数等によって解約返戻金の額は異なり、解約返戻金がない場合もあるため注意しましょう。
ちなみに保険期間が5年超の場合、保険料の観点からであれば解約は慎重に検討する必要があります。
地震保険への加入を検討
火災保険を見直すポイントとして、地震保険への加入を検討することも挙げられます。地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害は、地震等で発生した火災による損害を含めて火災保険の対象外です。これらの損害を補償するには、地震保険への加入が必要です。ただし、地震保険は単独では加入できず、火災保険にセットして契約することになります。地震保険に加入していない場合は、火災保険の見直しのタイミングで、地震保険が必要かどうかを検討しましょう。
地震保険については、以下の記事をご覧ください。
地震保険は入るべき?必要性や火災保険との違い、補償について解説
火災保険を見直す際の注意点
火災保険を見直すケースは、住宅を住み替えた時、増改築・減築した時、家族構成が変わった時、建物評価額に変動があった時、ハザードマップが更新された時等です。見直すケース別に注意点を解説します。
住宅を住み替えた時
引越しや売却により住宅を住み替えた場合は、保険会社へ連絡をしなければなりません。条件によっては加入している火災保険の変更等で契約を継続できる場合もありますが、元の火災保険を解約して新しい保険に加入しなければならない場合もあります。
なお、住み替えの際、引越し前の建物や家財を所有しているあいだは火災保険を継続していたほうが安心です。例えば、旧宅の売却を検討しており、先に引越しをしたとします。引越しのタイミングで火災保険を解約してしまうと、その後は補償を受けられません。万が一、旧宅が火災にあった場合、自費で火事の対処をしなければならないのです。火災保険の保険期間を旧宅は引き渡し日まで、新居は契約上の引き渡し日からを目安にすると、リスクを回避できる可能性が高くなります。
増改築・減築した時
増改築・減築した時には、火災保険の契約内容に変更が生じる点に注意が必要です。建物の価値が変わる可能性があるため、新たに住宅の評価額算出を行い、適切な保険金額に変更する必要があります。
増改築・減築があった事実は、必ず保険会社に連絡しなければいけないことなので、これらがあった場合は、すぐ知らせましょう。
また、主要構造部(柱、外壁、屋根等)を共有していない離れ等を増築する場合の多くは、別の建物として別途契約が必要となる場合があるので注意してください。
家族構成が変わった時
家族構成が変わった時の注意点としては、家族の人数が増減すると家財の量が変化し、必要な保険金額も変化することが挙げられます。子どもが生まれる、子どもが独立する等で家族の人数が増減すると、家財の量も変化するケースが多々あります。家財の内容や量が変われば、必要な家財の補償額も変化するので、実態に合った保険金額を設定し直しましょう。
建物評価額に変動があった時
建物評価額に変動があった時には、保険金額にも差異が出るということを理解しておきましょう。住宅を再調達するための金額が変わるので、保険金額の見直しが必要になります。建物評価額に変動があった場合、契約中の保険金額に対し、適切な保険金額は現在どのくらいになるのかを確認して、必要に応じた手続きを行ってください。
ハザードマップが更新された時(水災等のリスクが高くなった時)
ハザードマップが更新された時には、現状の補償内容でリスクに対応ができるかを再確認しましょう。ハザードマップは最新情報をもとに更新されることがあるので、更新内容によっては水災等のリスクが高まり、火災保険の見直しが必要になることもあります。既存の契約にオプションで必要な補償を追加できる場合もあれば、新規に契約し直さなくてはいけない場合もあるので、水災等の新しい補償が必要な時は、まず損害保険会社に確認することをおすすめします。
火災保険は定期的に見直しをしよう
火災保険は、建物や家財に万が一のことがあった場合に、生活を再建するのに必要な金額を補償する保険です。住まいや家族の状況が変われば、必要な補償の内容や必要な金額は変わるため、「一度加入すれば安心」とはいえません。常に必要十分な補償が受けられるように、保険が満期を迎えたり、住まいや家族に変化があったりしたタイミング等で、定期的に見直しましょう。同じような補償内容でも、損害保険会社や商品によって保険料が違う場合もあるので、保険の見直しをすることで保険料を抑えられる可能性もあります。
「ほけんの窓口」では、複数の損害保険会社の保険商品を取扱っており、補償内容や保険料を比較検討しながら選ぶことができます。火災保険の見直しや新規加入は、ぜひ「ほけんの窓口」にご相談ください。
(2023年12月承認)B23-103075
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。