ペット保険はいらない?必要な人・不要な人の特徴を解説
ペット保険は、ペットの病気やケガに備える保険です。ペットを飼っていて、ペット保険の加入を検討している人は多いかもしれません。しかし、一部では「ペット保険はいらない」という意見もあります。ペット保険がいるか、いらないかは、どのように判断したらいいのでしょうか。
ここでは、ペット保険の必要性や、ペット保険が必要な人・不要な人の特徴、ペット保険に加入する際の注意点等について解説します。
ペット保険とは?
ペット保険とは、ペットの病気やケガに備える保険で、病気やケガで実際にかかった治療費を補償します。ペット保険に補償割合が設定されている場合は、その補償割合によって支払われる金額が変わります。補償割合は、50~70%程度であることが一般的です。なかには補償割合90%の保険商品や、一定の支払額以下であれば補償割合100%になる保険商品もあります。
ペット保険の補償対象は、主に「入院」「手術」「通院」です。ただし、ワクチン等の予防接種や健康診断、病気予防の診療、病気の処置以外の避妊・去勢手術等は、基本的に補償対象外となることを覚えておきましょう。その他、保険商品によっては、ペットが他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりして損害賠償責任を負った場合に補償される特約を設けていることもあります。
ペット保険は、補償割合や特約の他、補償限度額、限度日数、免責の内容も、保険商品によって異なるため、加入前によく確認しておくことが大切です。
ペットの治療にかかる費用
ペットには、人間のような公的医療保険制度がありません。そのため、ペットの病気やケガでかかった治療費は、全額が飼い主の自己負担となります。
公益社団法人日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、飼い主が動物病院にかけている一か月あたりの平均費用は、大型犬9,281円、中型犬8,183円、小型犬8,217円、猫6,991円となっています。
※出典:公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」
ペット保険の必要性
ペットの病気やケガにより、高額な治療費が必要になるケースがあります。また、近年ではペットの寿命が延びており、高齢になるほど病気やケガが重症化するリスクも高くなっています。そのような場合、ペット保険に加入していれば、支払いの負担を抑えられるでしょう。一例として、ペット保険に加入していた場合の治療費は次のとおりです。
■ペット保険に加入していた場合の治療費の計算例
通院補償のついたペット保険に加入していたら、ペットの体調変化が気になった時に金銭的な不安により受診するか迷うことが減るかもしれません。その結果としてペットの健康維持につながる可能性もあります。
また、ペット保険の中には、動物病院の窓口で、補償分を除いた自己負担分だけを支払う「窓口精算」ができる商品もあります。窓口精算ができるペット保険は、後日保険会社に請求手続きを行う必要がなく、一時的に全額を立て替える経済的負担も軽減できることがメリットです。
ペット保険への加入が必要な人
ペットを飼っている人の中には、ペット保険の必要性が高い人と、そうでない人がいます。ペット保険への加入が必要といえるのは、次のようなタイプの人です。
急な出費に経済的な不安がある
どのようなペットにも病気やケガのリスクはあります。今は元気なペットでも、いつ病気になったりケガをしたりするかわかりません。ペットの突然の病気やケガに対して出費が心配な人は、ペット保険に加入したほうがいいでしょう。
ペットの体調変化にすぐに対応したい
ペット保険に加入していないと、ペットの体調変化が気になっても、費用面の不安から受診をためらうことがあるかもしれません。また、「治療費が高額だから」という理由で、もっとも効果的な治療をあきらめざるをえないケースも考えられます。ペットに迅速かつ十分な治療を受けさせたい、と考える人は、治療費の負担を軽減できるペット保険への加入がおすすめです。
ペット保険への加入が不要な人
経済的に不安がなく、急に高額の出費があっても問題なく支払える人は、ペット保険の必要性は低いといえます。例えば、十分に貯蓄があり、ペットが入院や手術をすることになっても、すぐ治療費を支払えるなら、ペット保険はいらないかもしれません。
なお、ペット保険の中には、ペットが他人に損害を与えてしまった時の賠償責任特約がついている保険もあります。ペットの治療費を貯蓄でまかなおうと考えている場合は、そのようなリスクについても想定しておきましょう。
ペット保険に加入する際の注意点
ペット保険への加入を検討する場合、注意すべきことがいくつかあります。ペット保険に加入する際の注意点について見てみましょう。
ペットの年齢制限がある
ペット保険には、加入できるペットの年齢制限が設けられている商品もあります。加入できる年齢は保険商品によって異なりますが、年齢制限が設定されている商品では、犬や猫の場合は10歳くらいを上限とするケースが一般的です。ペットが高齢になると、加入できるペット保険の選択肢が少なくなることに注意しましょう。
病気やケガになってからでは加入できない可能性もある
ペットが病気やケガになってからでは加入できないペット保険もあります。たとえ加入できたとしても、特定の部位や既往症等は補償対象外となるといった条件付きでの加入になることもあります。そのため、ペット保険はペットが健康なうちに加入するのがおすすめです。
なお、ペット保険に加入する際には、ペットの健康状態や傷病歴を申告する告知義務があります。事実と異なる告知をした場合は、告知義務違反となり、補償が受けられないばかりでなく契約解除になることもあります。告知事項は漏れなく正確に記入しましょう。
犬・猫以外の小動物が加入できる商品が限られている
犬や猫以外の小動物の場合、加入できるペット保険の商品は限られていることに注意が必要です。ペット保険は、基本的に犬と猫が対象です。ペット保険の中には、鳥やうさぎ、ハムスター、爬虫類等の加入が可能な保険商品もありますが、数は限られます。小動物向けのペット保険であっても保険商品によって加入できる動物の種類は異なるため、自分のペットが対象かどうかは事前に確認が必要です。
待機期間がある
一般的にペット保険には、1~2か月程度の待機(免責)期間が設けられているため、加入後すぐに補償が開始されるわけではないことを知っておきましょう。待機期間中は、病気やケガで治療費を支払っても、補償は受けられません。また、待機期間中に発症した病気については、その後も補償対象外となります。
ペットにかかる治療費に不安があるなら、ペット保険への加入を検討しよう
どれほど気をつけていても、ペットの病気やケガのリスクをゼロにすることはできません。また、人間と同じように、ペットも高齢になるほど病気やケガのリスクが高まります。ペットには公的医療保険制度がないため、病気やケガで高額な治療費がかかった場合は、全額が飼い主の自己負担になってしまいます。
「ペットにかかる治療費が不安」「大切なペットの健康を守りたい」と考えるなら、ペット保険に加入するのもひとつの方法です。ただ、ペット保険にもいろいろな種類があり、保険商品によって補償内容等が異なります。
「ほけんの窓口」では、ペット保険に関する質問や見積もり等が、何度でも無料で相談できます。ペット保険を検討したい場合は、ぜひ「ほけんの窓口」へご相談ください。
- ※特約の名称や補償内容は保険会社ごとに異なります。
- ※当ページではペット保険に関する一般的な内容を記載しています。個別の保険商品等の詳細については保険会社および取扱代理店までお問い合わせください。
(2024年1月承認)B23-103705
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。FPサテライト株式会社所属FP。