経営者の資産形成

多くの経営者は経営上のお金や人の問題等、優先して解決しなければならないことが多く、自分の資産形成までなかなか気が回らないかもしれません。

しかし、これからの時代には経営だけでなく、経営者個人の資産形成も欠かせないものになるでしょう。

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なぜ経営者に資産形成が必要なのか。

長期間続いている低金利に加えて日本でも物価上昇が顕著になってきています。現在に比べて金利が高かった時には、銀行等金融機関に預金として資産を預けておけば多少なりとも経営者の資産を増やすことができました。預金であれば価格変動リスクを気にする必要はありませんし、金融商品を選ぶことにもほとんど時間を取られませんから経営者は事業に集中できました。

しかし、現在の日本の金利では物価上昇の速度に追いついていません。本業で稼いだ資産を預金として預けておくだけでは、資産を増やしていくことは難しい状況です。

さらに平均寿命が延びている現在は、資産寿命も延ばしていかなければなりません。経営者自身と家族の生活を安心で豊かなものにするために、経営者の資産を守り、育てることを具体的に実行することが求められる状況になっています。

経営者の資産形成の特徴

法人と個人の資産は本来別のものですが、中小企業の場合は法人と個人の資産は車の両輪です。そのため、どちらかをはずして考えることはできません。法人の借入れを経営者が個人保証をしている場合や、経営者が法人に貸付をしている場合等はなおさらです。このようなケースでは法人の経営に万が一のことがあると経営者だけでなく、家族の資産やその後の生活にも大きな影響が出てしまいます。

このように法人と個人の資産が密接に繋がっていることを前提に資産形成を考えなければならないのが経営者の資産形成の特徴です。

経営者の資産形成の方法

経営者の資産形成は、大きく分けると「経営者個人」で行うものと「法人」で行うものがあります。大企業であれば経営者や役員、従業員のための退職給付制度や各種福利厚生制度が充実していますが、中小企業では不足しがちです。

具体的な経営者の資産形成には次のような方法があります。

確定拠出年金

確定拠出年金は、公的年金に上乗せして加入する私的年金制度の1つです。掛金の運用を加入者自身が行うため、将来の年金給付額は加入者ごとに異なります。法人が企業年金制度として導入する「企業型」と個人が自分で加入する「個人型(愛称:iDeCo)」があります。運用する商品は預金や保険、投資信託等があり、原則として年金受取時まで資金を引き出すことができません。

税制優遇が設けられており、iDeCo等加入者自身が掛金を拠出する場合は、その全額が所得控除の対象になります。また、運用して利益が出た部分については非課税、将来の年金受取時にも、退職所得控除や公的年金等控除が適用されます。確定拠出年金の給付を受ける権利を譲り渡したり担保にしたり、または差し押さえたりすることはできません(確定拠出年金法32条 受給権の譲渡等の禁止等)。法人の経営にもしものことがあっても、確定拠出年金で積み立てた経営者の資産は守ることができるのです。

つみたてNISA

NISAは少額投資非課税制度のことで、一般NISAとつみたてNISAがあります。つみたてNISAは長期の積立分散投資を支援するための制度です。コツコツ積立てをする方法は、本業に集中したい経営者に向いています。また、つみたてNISAではいつでも資金の引き出しができ、運用益については税金がかからない仕組みなので、効率よく運用することができます。ただし、NISA口座で保有している金融商品を売却する等して損失が出た場合、他の口座(一般口座や特定口座)で保有している金融資産の配当や売却によって得た利益との相殺(損益通算)はできません。

つみたてNISAで選べる商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託で、預金や保険等の商品はありません。確定拠出年金が老後の資産形成を目的にしているのに対して、つみたてNISAは老後だけでなく、もう少し近い将来のための資産形成にも活用できます。

確定拠出年金やNISAについては、制度改正等が頻繁に実施されています。特にNISAは2024年1月から非課税期間が無期限化されて、投資限度額が拡充した新しいNISA制度に移行します。非課税の制度を積極的に利用することで、資産形成のペースを早めることが可能です。つみたてNISAは新しいNISA制度のつみたて投資枠、一般NISAは成長投資枠に該当します。

新しいNISAと現行NISAの制度の主な違い

新しいNISA 現行のNISA
つみたて投資枠 成長投資枠 つみたてNISA 一般NISA
年間投資枠 120万円 240万円 40万円 120万円
非課税保有期間 無期限 無期限 20年間 5年間
非課税保有限度額 1,800万円
(うち成長投資枠1,200万円)
800万円 600万円
併用について 両方の投資枠の併用可 つみたてNISAか一般NISAかどちらか選択

*現行のNISAは2023年末で終了して2024年より新しいNISAに移行予定

確定拠出年金やつみたてNISAといった税制の優遇がある制度を優先的に活用することが、資産形成のポイントです。NISAや確定拠出年金は一人1口座で運用する金額に上限があります。経営者家族の資産形成と考えれば、経営者だけでなく配偶者もこれらの制度を活用することで、より税制の優遇を享受できます。

小規模企業共済

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主等を対象にした積立による退職金制度です。掛金は月々1,000円から70,000円まで自由に設定することができ、掛金の全額が所得控除の対象になります。また加入後の掛金の納付期間に応じた所定の貸付限度額の範囲で、事業資金等の借入れも可能です。資金繰りの助けにもなるので経営者にとって役に立つ制度といえるでしょう。

法人保険

経営者自身の勇退後の生活のため、また万が一のことがあった場合の家族の生活のために退職金を準備することは経営者の資産形成の1つです。この退職金準備に保険を活用することもできます。法人保険の多くは一般的に契約者を法人、保険の対象者(被保険者)を経営者、受取人を法人として契約します。

長期定期保険

長期定期保険は保険期間を95歳や100歳等の超長期にした定期保険です。保障が長期にわたるので、経営者に万が一のことがあった場合、死亡保険金によって法人の事業保障を確保できるだけでなく、死亡退職金や弔慰金の支払いに充てることができます。

また、定期保険は一般的に保障を重視した掛捨ての保険ですが、保険期間を超長期にすることで、一定期間の解約返戻金が大きくなるため、経営者が勇退した際の退職慰労金の原資にすることもできます。

解約返戻金は、加入期間の経過に伴い、緩やかに上昇していき最高値になった後、減少していきます。一定の期間は相応の解約返戻金があるため、勇退時期が変化しやすい中小企業の経営者の退職金プランも作りやすくなります。なお、法人が負担した保険料は契約内容に応じた所定の割合が損金扱いとなります。

逓増定期保険

逓増定期保険は、加入後の一定期間が経過した後、契約時に定めた所定の割合で保険金額が階段型に増加(逓増)していくタイプの定期保険です(最大5倍程度まで)。保険金額が増えていくため、法人の成長とともに高い保障が必要になっていく経営者の事業保障や、経営者の死亡退職金・弔慰金の原資の確保に向いています。保険料の経理処理は契約内容に応じた所定の割合が損金処理できます。

逓増定期保険も契約期間中の一定の時期までは解約返戻金が増えていくので、経営者の勇退時の退職慰労金の原資をつくることもできます。逓増定期保険は長期定期保険に比べると、解約返戻金が最高値に達するまでの期間が短く、その後下降するペースも速くなっています。事業保障等に加えて比較的早期に退職慰労金の原資を作りたい場合等に向いている保険です。

終身保険

終身保険は解約しない限り保障が続くことが最大の特徴です。貯蓄性が高く、保険料の経理処理は全額資産計上となります。退職金プランへの活用も可能ですが、保障が一生涯で万が一の場合には必ず保険金が支払われることから事業保障や事業承継対策に向いています。

法人保険はこのようにいくつかの種類があるため、利用目的や経営者・法人の状況に応じた使い分けが必要です。経営者が法人に個人保証や貸付をしている場合等、事業保障があることで万が一の時の保険金が家族の資産を防衛することにもなります。また解約返戻金がある保険は、解約返戻金の一定範囲内で資金の貸付(契約者貸付制度)を受けることが可能です。保険を法人の資金繰りに活用することもできるのです。ただし、法人保険を検討する上で、キャッシュフローが悪くなる可能性や、法人保険を中途解約すると元本割れをしてしまう可能性がある点等は注意が必要です。

まとめ

法人が本業で儲けること、経営者個人が自分の資産を増やすことはどちらも欠かせないことです。何よりも本業が中心ですが、これからは経営者個人の資産形成にも目を向けましょう。効率的に運用するためには、iDeCoやNISAのような税務上の優遇制度を上手に活用するとよいでしょう。はじめてだとどうしたらいいか難しく感じるかもしれませんので、専門家に相談する等、情報の整理や詳細は詳しい人に任せて、経営者は自身の資産形成方法の決断に集中するとスムーズにスタートを切ることができます。

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  • ※上記の税務の取扱い等については、2023年4月現在の税制・関係法令等に基づき記載しています。今後、税務の取扱い等が変わる場合もありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。個別の税務の取扱いについては、(顧問)税理士や所轄の国税局・税務署等にご確認ください。

公開日:2023年8月8日

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