社会福祉法人を取り巻くリスクと対策
2017年4月施行の改正社会福祉法により、社会福祉法人の役員等は、会社法上の役員等と同様に、業務遂行上さまざまな義務・責任を負うことになりました(役員等の損害賠償責任が明確化されました)。
社会福祉法人の役員等が行う日々の経営判断や業務は、損害賠償請求リスク・訴訟リスクと常に隣り合わせです。訴訟により、役員個人に対して損害賠償請求がなされた場合には、役員個人の財産が危険にさらされる可能性もあります。
また、役員個人に対する損害賠償請求リスク・訴訟リスクのみならず、社会福祉法人を取り巻くリスクは多種多様です。
想定されるリスクを把握し、適切な対策を講じることが大切です。
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お問い合わせ社会福祉法人の役員等が抱える責任と訴訟リスクについて
社会福祉法の改正により社会福祉法人の役員等は、第三者に対する責任として「一般の不法行為責任」等、社会福祉法人に対する義務として「善管注意義務」「忠実義務」等を負うこととなりました。
これにより、社会福祉法人の役員等が悪意または重大な過失により第三者に損害を与えた場合、また職務を怠ったことにより社会福祉法人に損害を与えた場合、損害賠償請求を提訴される可能性があります。
役員等に対する第三者訴訟について想定される例
利用者およびその家族
利用者に対してサービスを提供したが、当初の契約どおりのサービスになっていなかった。
利用者から実際に支払った利用料と提供されたサービス対価の差額について、サービス業務の責任者である理事に対し損害賠償請求がなされた。
従業員
ある従業員は、長年働いているにも関わらず、不公平な評価により昇級・昇格が遅れ、本来もらうべき給与をもらえていないと不満を抱き、人事担当理事に相談していた。話がこじれ、同従業員から、本来もらうべき給与相当額について、人事担当理事および理事長に対し損害賠償請求がなされた。
近隣住民
施設の運営に伴い騒音が生じることは避けがたいが、ある近隣住民から「騒音がひどい」という苦情を受けた。理事長は率先して改善策を講じたものの、同住民は改善が感じられず家を引っ越した。同住民から引越し費用について、理事長に対し損害賠償請求がなされた。
役員等に対する法人訴訟について想定される例
経理責任者の長年にわたる横領が発覚し、行政から法人に対し是正が求められた。法人からその損失額について、担当理事や代表者に対し損害賠償請求がなされた。
社会福祉法人向け役員賠償責任保険(D&O保険)の概要
社会福祉法において役員個人の責任が明確化され、社会福祉法人に対してガバナンスの強化が求められています。このような環境変化における訴訟リスク対策として「社会福祉法人向け役員賠償責任保険(※以下D&O保険)」を活用し安心した経営環境を整えていくことが大切です。
D&O保険は役員として行った行為に起因して損害賠償請求がなされた場合に、役員個人が被る損害(損害賠償金および訴訟費用)を補償します。
- ※身体障害、精神的苦痛、財物損壊等についての損害賠償請求は、訴訟費用のみが支払い対象となります。
- ※法人が負担する損害賠償金や訴訟費用は、支払いの対象となりません。
- ※保険会社によっては、商品名や補償内容がことなることがあります。
- ※詳細は弊社までお問い合わせください。
社会福祉法人を取り巻くリスク
役員個人に対する訴訟リスクのほかにも、社会福祉法人を取り巻くリスクにはさまざまなものがあります。
社会福祉法人を取り巻くリスクの顕在化の例として、下記があげられます。
自然災害などのリスク
財物に関するもの
火災、落雷、破裂・爆発
火災により建物や設備・什器備品が損壊した。
落雷によりパソコンやエアコンなどの設備・什器備品が損壊した。
風災、ひょう災、雪災
台風の強風により建物の屋根が損壊した。
大粒のひょうが降ったことで屋根や窓ガラスなどが損壊した。
水災
集中豪雨により河川が氾濫したことで建物が浸水し、建物や設備・什器備品が損壊した。
水ぬれ
水道管の破損により水漏れが発生し、建物や設備・什器備品が損壊した。
利益・費用に関するもの
売上の減少
台風の強風により建物などが損壊した。建物などの修理期間中、施設の一部を営業停止したことで売上が減少した。
経常費用の負担
豪雨災害で建物などが損壊し、施設を一定期間閉鎖した。この閉鎖期間中に発生する従業員の給与や家賃などの経常費用を負担した。
営業継続費用の負担
火災により建物などが損壊した。建物などの修理期間中、仮施設で運営するために発生する賃貸料、移転費用などを負担した。
自然災害に関するリスクは法人向け火災保険で備えることができます。
詳しくはこちらをご確認ください。
人事・労務管理などのリスク
業務災害に関するもの
従業員のケガ
従業員が通勤途中に交通事故に遭い、ケガをした。
就労支援施設の利用者が、作業中に機械操作を誤り、ケガをした。(就労支援施設A型、雇用契約がある場合)
使用者の賠償責任
過剰な時間外労働を行っていた従業員が心臓疾患で死亡した。過重労働と死亡の因果関係が認められ、過労死と認定された。労務管理に問題があったとして、遺族から損害賠償を請求された。
雇用管理に関するもの
雇用管理の賠償責任
退職した元従業員から不当解雇があったとして、解雇無効や解雇以降の賃金相当額を請求された。
パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントを受け、精神的苦痛を被ったとして損害賠償を請求された。
職場環境に関するもの
メンタルヘルス対策費用
うつ病で休職していた従業員の職場復帰を支援するための対策を実施した。
特定感染症等対策費用
職場で新型コロナウイルス感染症が発生し、保健所等から消毒その他の処置の命令等を受け、外部業者へ職場の消毒作業を依頼した。
人事・労務管理などに関するリスクは業務災害保険などで備えることができます。
詳しくはこちらをご確認ください。
賠償責任に関するリスク
対人・対物事故に関するもの
施設管理、業務遂行
清掃したばかりの床が滑りやすくなっていたが、注意喚起を怠っていたため、利用者が足を滑らせて転倒し、ケガをした。
従業員が利用者の部屋を掃除中に、置いてあった利用者のメガネを落とし、損壊させてしまった。
生産物や仕事の結果
施設で調理し提供した給食が原因で、給食を食べた利用者が食中毒になってしまった。
施設管理や生産物などに関するリスクは賠償責任保険で備えることができます。
詳しくはこちらをご確認ください。
個人情報に関するもの
情報漏洩
利用者の情報を病院・利用者家族へFAXで提供する際、送信先を誤り発信してしまった。
情報漏洩に関するリスクは個人情報漏洩保険で備えることができます。
詳しくはこちらをご確認ください。
- ※保険会社や商品によっては、補償内容などが異なることがあります。
- ※詳細は弊社までお問い合わせください。
公開日:2021年12月14日
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